’00.9.10

日中の蒸し暑さも、夕暮れとなると秋らしい風が渡ります。夕食を食べた後、主人が庭のベンチに座っているので、わたしはそっとベンチの上に上がって行きました。主人の膝に前足を乗せようとした時、主人が突然「あれは何だ・・・あれは」。わたしは主人の指差す方へ全神経を集中させて、鼻、耳、目を総動員して様子を伺います。

主人の指は庭の向こうの野っ原を指しています。「なんだ、なんだあれは」、今度は庭の扉の方を指差して主人は叫びます。わたしはベンチから飛び降り、庭の扉の方へ飛んで行って様子を伺います。神経を集中させて様子を伺いますが、特段変わったことは伺えません。なんだか主人の様子が変ですが、あたりは別段変わった様子もありません。

わたしはちょっと不安になって、またベンチに乗って主人のそばに座ります。こんどは膝の上に乗るんではなくて、主人に寄りかかるようにしてあたりの様子を見ます。半分不安、半分警戒しながら主人のそばで耳をそばだて、鼻を精一杯かいで事態を見極めようとします。
「ラム、おまえは緊張半分不安半分、ひょっとして不安の方が勝っているかもな。」主人はそんなことを言いながら、わたしの頭を撫でてくれます。

その後は何もなかったように、主人はわたしの頭を撫で、胸を叩いてくれました。段段と緊張がほぐれ少し平穏を取り戻して気が付いたことは、どうも主人はわたしを試したようです。確かに主人に煽られて、何かあったのかと思ったときは様子を確認しなくてはと思いますが、事態が分からないと不安になります。その時の頼りはなんと言っても主人です。
ホントに何かあった時は、やっぱり不安になって頼りにするのはご主人様かな・・・。わたしを頼りにされても・・、ちょっと困るんです。ホント。