’99.11.27

秋もだいぶ深まってきました。わたしのテリトリーである庭には小さなもちの木があります。今年は比較的実がなっています。今は真っ赤に色着いて、見た目にも美味しそうです。その実を狙ってヒヨドリがやってきます。決まって二羽で来ますので、夫婦連れだと思います。

こう書いてくるといかにも風情があるようですが、そのヒヨドリのうるさい事と言ったら、ピーピーピーピー鳴きながら実を食べるのです。食事のマナーも良くありません。あたり一面赤い実を落として行くものですから、それでなくても小さな庭が狭く感じます。落ちた実は決して食べませんので主人の出番となります。

箒を手にぶつぶつ言いながら掃いて行くのですが、小砂利をひいていますので効率良く掃けません。仕方なしにかがみこんでは、手で一粒一粒拾って行きます。わたしも主人の傍に行って顔を覗き込んではご機嫌を取ってやります。主人も最近は腰が痛いらしく長続きはしません。

ぶつぶつ言いながら、隅にあるベンチに腰をかけて一つ深呼吸をします。頃を見計らって、わたしはそっとベンチに上がり、そしてそっと主人の膝に前足を乗せ伏せをします。丁度上半身が主人の膝に乗った状態になります。そして、大きなあくびを一つします。いや、あくびが出るのです。

自分でも緊張しているのが分かります。そんな時、主人の手がわたしの頭を撫でてくれます。主人もわたしも後はじっとしているだけです。それでわたしは満足です。