’04.11.21

牧羊犬ならぬ牧犬犬サリーは、原っぱでは相変わらず主人の言うことを聞いてわたしを追い立てます。
というのはわたしのひがみでありまして、主人の呼ぶ声を無視してわたしが草を食べ続けるものですから、サリーは気にしてわたしを呼びに来るのです。思えばかわいい妹です。

わたしも人間社会に暮らして8年、主人達の会話の端々は何となく分かります。主人達の会話を聞いて、わたしが反応するので言葉が分かると思っているようです。
ところが最近は反応しようにも体が今一つついて行かず、サリーに先を越されることがよくあります。それで最近は、わたしよりサリーの方が主人達の言葉が分かると思われているので、悔しいったらありません。

慎み深いわたしは、食餌の催促を除いては、わたしの方から主人達に何かを要求するようなことはないのですが、サリーときたらやたらスリッパをくわえては、主人やお母さんにアッピールするのです。
すると主人達は、「水を飲みたいんだね」、「トイレに行きたいんだね」、「庭に出たいんだね」、な〜んて勝手に判断して、サリーは意思表示もできると言うのです。甘いったらありません。

「散歩に行こうか」と主人は独り言のように言って、椅子から立ち上がりました。サリーは早速主人の後ろをついて行きます。わたしはソファーに横になったまま、目だけで主人達を追いかけます。
するとどうでしょう、サリーがわたしのところに来て「一緒に行くよ」と誘いに来るではありませんか。
サリー、悪口言ってごめん。思えばかわいい妹です。