’05.5.4

穏やかな晴天が続きます。空気もカラッと乾燥していて、暑くもなく寒くもなく心地よい日和です。
午前中の散歩も日差しが強くなってきょうはお休み、その代わり裏の原っぱで遊ぶことになりました。

「あぁ、ギンヤンマのオスだ!。もう飛んでいる」
主人がいつものように驚いた時に出す、すっとんきょうな大声を出しています。
「どこから飛んできたんだろ」
原っぱをみると大きなトンボが、草原の上2m位のところを悠然と飛んでいます。2、3回往復したと思ったら、どこかへ飛んでいなくなりました。どうしてあのトンボがオスってわかるのでしょう。

主人が言うには、小さい頃よくこのギンヤンマを取りにいったそうです。場所はだいたい葦の茂ったような小さな池のある場所です。
オスは尻尾の付け根が空色をしていて、メスは茶色をしているので飛んでいても見分けがつきます。
メスの方が価値がありました、というのもこのメスを竹の先につけた糸に結わえつけるのです。そして、頭上でくるくる廻しながら「ヤンゴ〜イ、ヤンゴ〜イ」と言うそうです。ヤンゴ〜イとはギンヤンマの俗名(注)です。そうするとこのメスにオスのギンヤンマが寄ってくるので、それを網で獲ったそうです。
メスのほうが数が少なかったようで、どうしてもメスが取れないときはオスの尻尾の付け根の空色の部分に、粘土を溶かして塗りつけ茶色に見せかけてやったそうです。それでもオスが寄ってくることがあったとか。

そんなことを思い出しながらでしょうか、ボ〜とした顔で原っぱで遊ぶわたし達を見ていた主人が、またすっとんきょうな声で何かブツブツいっています。
見ると「糞は持ち帰って」の看板の前の土が少し掘れていて、その土が穴の脇の何かの上に掛けられています。
「何で糞を取って行かないんだろう。自分ちの子の糞も手で取るのが嫌なのかな」
「まあ、土を掛けて行くだけでもいいか」
ボ〜と小さい頃を思い出していた顔が、急に現実に戻って原っぱでの遊びも終わりです。


(注):田舎ではギンヤンマのことをヤンゴイと呼んでました。いま思うと「ギンヤンマ 来〜い」をヤンゴ〜イといってたのかもしれません。