’04.1〜12
サリーを半年間の預託訓練に出したのが1年前の1月11日、サリーが1才と1ヶ月の時でした。半年の訓練を終え、戻ってきてから半年が経ちました。預託訓練に出したことがどうだったのか、送り出した飼い主の立場から総括してみました。

まずもってサリーを訓練に出そうと思い始めたのは、初めてのドッグショーで思いもよらないBOBを取り、訓練もそこそこに入る状態で、素人の私にとってさらにこれ以上の能力を、サリーから引き出してやれそうもないと思ったからでした。
サリーにどんな能力があるのか、可能性があるのか私には判断できませんでした。そこでプロの方に、可能性について見極めをお願いしてみようという気になりました。しかし、これは大きな考え違いだったと思います。

訓練にしろショーにしろ、どの犬も能力や可能性は持っているもので、その能力をどう引き出して伸ばしてやるかを考えるべきでした。
従って今から思うと、私の場合、サリーの可能性の見極めを最初にして、預託訓練の目的を飼い主である私がはっきり持ち、訓練犬として特殊な能力を身につけさせるのか、ショードッグとしてマナーを入れ体を造るのか、訓練の目的をはっきりさせるべきでした。しかし、これは経験のない私にはなかなか難しいことで、ついあなた任せになってしまいました。

私は犬と生活する上で必要なしつけは、飼い主が教えてやるのが最良の方法だと思っています。しつける知識がなければ、犬共々飼い主が訓練所に行って教わるか、訓練士さんに来てもらってしつけのコツを教えてもらうことで、犬が人間社会で生活する上での必要なマナーは、教えることができると思ってます。

サリーは出す時点で、そこそこのしつけは入っていましたので、私はしつけを預託訓練で教えてもらうつもりはありませんでした。では何を期待して預託訓練に出したのか。それはサリーの可能性を見てもらいたいという、曖昧なものでした。
誤解のないようにお断りしておきますが、サリーは訓練所でJKCのPD1、PD2、PDのPAH1の資格を取得して帰ってきました。ショードッグとしても、必要なショーマナーを身に付けていました。預託訓練の結果には満足しています。

訓練に出して間もなく、訓練所からドッグショーの出陳予定について相談がありました。訓練所に出したきっかけがBOBを取ったことでもあったので、飼い主の意向を慮って、ショードッグとしての実績を上げようとの、訓練所の配慮があったものと思います。
この時の私の返事は、少しサリーの様子を見て可能性があるようならば、出陳をお願いします。その判断は訓練所にお任せしますという、あなた任せのものでした。

ショードッグとして訓練を積むということは、ショーマナーを入れること、ショーの雰囲気に慣れさせるための経験を積むことであって、ショーで成績を上げることは、犬の資質もあって、訓練で上げられるという性格のものではないでしょう。
ショードッグに仕立てるために訓練所に期待できることは、ショードッグとしての体を造り、少しでも多くのショーに出陳して、幸運を掴むチャンスを多く作って貰えることだと思います。

一方訓練課目の習得は、これも犬の資質によるでしょうが、ショードッグの養成と違って、訓練を重ねることで目に見える成果を上げることができると思います。
問題は、訓練課目の習得は指導手と犬とが一体になってできることで、サリーが訓練所である訓練課目を習得できたとしても、私が指導手になってもできるかというと、必ずしもそうとは言えないことです。
また訓練をする時は、犬をその気にさせることが大切な要素のように思います。日ごろの生活を、訓練させる時には訓練モードに変えることが必要です。
更に、いろんな訓練課目が習得できたとしても、その犬が飼い主の言うことをよく利くようになるかというと、訓練モードでない日ごろの生活では、訓練の成果はほとんど生かされないように思います。訓練の成果は訓練士と犬との成果であって、飼い主と犬との成果ではないと言えるようです。

この訓練についても、サリーを出す時の私の目標は明確ではありませんでした。ドッグショーで必要となる資格だけは、取って貰いたい程度の漠としたものでした。
そのような曖昧な私の目標にも拘わらず、サリーが先に上げた資格を取得できたことは、大変幸せなことと思っています。

サリーの預託訓練を総括すると、サリーにとってはショードッグとして、訓練犬としての技能がついてきましたし、訓練資格も取得することができました。
私にとってはオーナーハンドラーとしてサリーとドッグショーを楽しむきっかけを与えてくれたこと、更に、サリーとの一層のコミュニケーションが要求されるCD3、CDXへのチャレンジの足がかりを与えてもらえたことと思っています。
預託訓練はサリーにとって辛いものだったと思いますが、それだけサリーを愛しく、そして今では目的をもってラムともども共生しています。