一才になる前の子供、いや歩く前の子供とラムを比較してみると、記憶することに関しては大きな違いを感じましたが、そのほかの知能についてはあまり違いは感じられませんでした。

しかし、歩き始めた頃から人間の知能の発達の仕方は、本当に驚くばかりです。一才と2ヶ月になるラムの言う下の兄さんのお子さんを見ていると、自分の意思は明確に表現するし、見るもの聞くものが知識として蓄積されていることが明確に分かります。脳の中の色々な神経が繋がって、ものすごい規模のネットワークが構築されているんだろうなと思うと、神秘なものに思えます。

その点、年をとって細胞も神経も少なくなってくると物忘れが激しくなり、ものすごいタイムラグで神経が繋がると、はっと急に思い出したりして哀れを感じます。自分のことはさておき肉体的な能力は別にして、知能の点では一才と2ヶ月の子はラムを遥かに超えているようです。

そんなラムとお子さんの様子を見ていて、一番印象深かったことは、お子さんがラムにおやつをやったときでした。それまでは、ラムもしようのない生き物だなと言う感じで下のお子さんを見ていたようですが、食べ物をもらったときから、何がしかの関係ができたように感じられました。ラムよりも餌を与えた下のお子さんのラムに対する感じ方が、何がしか違って見えるのかもしれません。

物をほかのものに与えると言う行為が、お子さんにはもう出来るのです。この違いは決定的な違いかもしれません。物をやるという行為は面白いと見えて、カリカリのドッグフードを一粒一粒何回もやっていました。端から見ていても大層面白いものでした。

そのうち飽いて母親のところに帰って、もごもごさせていた口から出てきたのがカリカリのドッグフードだったのには笑ってしまいました。