躾を教えるのに、食べ物を使うことは良くある方法です。目的とする動作が出来たとき、ご褒美に食べ物を与えるという方法です。

今回図らずも、ラムに「ご褒美」という意味を教えることになりました。コマンドが指示通りできた時ご褒美に食べ物を与え、それが「ご褒美」であることを教えようと言う事です。

食べ物を見せ、ラムの近くで「まて」、「ふせ」、「ターン」はいとも簡単にやってのけます。そのことをすれば食べ物にありつけることが分かっているからです。しかし、そのことをしたから「ご褒美」に食べ物がもらえたということがちゃんと理解されているかというと、チョット違うように思えて、食べ物から離れてボールを取りにいくという行為をさせて見ました。

先ず食べ物(何時も食べるドッグフード)を手に握り、ボールを投げて持ってこさせることを試みました。できるワンちゃんもいるでしょうが、案の定ラムは食べ物に執着して、座ったままびくともしません。なんどやって見ても同じ事でした。これは逆に、「ご褒美」ということがどう言う意味であるか教えるのには都合が良いと思いました。

ラムの食べ物に対する執着はそれはそれは大変で、いつまでも与えないで見せているとターン(ごろんと一回転)して、催促します。ご褒美の先取りをしているようなものです。なぜボールを投げても取りに行こうとせず、食べ物に執着するのか。

先ず気が付いたことは、ボールを投げて取ってくる事は、ラムにとってコマンドを実行しているのではないということでした。レトリバーの本能を発揮しているだけの事です。ちなみに、離れたところにあるボールを取ってくるよう指示しても、ラムは何の反応も示しません。「ボールを取って来い」と言うコマンドから教えねばならないことがわかりました。何気なく与えていたご褒美は、ラムにとってはただただ食べ物を与えてもらうだけの事だったのです。また教える事の根気比べが始まりました。