地下鉄日比谷線の脱線事故は、某首相が「運が悪かった」と言われるほど身近な事故でした。多くの犠牲者を出した中でも、前途有能な高校生の死は色々な意味でマスコミに多く取り上げられました。事故の原因は科学的に調査され、脱線防止の考えられる対策が取られているようです。事故が起きた時、また調査の過程で報じられたことは、なぜ事故が予見されなかったか、想像できなかったかと言うことでした。

最近IT関連の株が高騰し話題になっています。米国の株価傾向に連動してか、将来の経済活動の利益の源泉だからそうなのか分かりませんが、株に関心のある方にとっては市場の動きは大変気になる動きのようです。どの銘柄が有望なのか、いろんな要素を勘案して、想像して市場は動くのでしょう。

横綱若乃花が引退しました。ファンの一人だっただけに残念です。小兵で相撲が上手かっただけでなく、人間的にもすばらしいと思いました。横綱昇進の記者会見で「相手の痛みが分かるような人間になりたい」と言ったのが印象に残っています。相手の立場に立って、相手の気持ちが分かる、想像できるということは立派なことだと思います。

こんなことを考えると、科学・技術でも経済でも人間関係でも、想像する力が将来の苦難や問題を解決してくれる力になるのでしょう。専門的なことは、それぞれの分野のプロが能力を磨き、しのぎを削って想像力を働かせ、私達はその成果を日常生活で享受していると言えます。

一方、人間関係は生活して行くうえで極めて一般的なことであり、毎日を快適に過ごすには自分を取り巻く人間そのものに対する想像力を、常日頃から磨いておく必要があります。想像力豊かな人は、それだけ人の痛みや立場が理解でき、相手の人からもきっと尊敬されるでしょう。

米国の入試論文で、「あなたの一生が300頁に亙って書かれているとして、その中の288頁目をっそっくり書きなさい。」という問題があったと、新聞のコラムに出てました。私なんかは現在がその頁に極めて近いので実感を持って書けるでしょうが、これを大学受験の若者に想像して書きなさいというところが、いかにも面白いと思いました。若者の想像は創造に繋がる可能性が大きく、そのことを試しているのでしょう。地下鉄事故の高校生が悔やまれるのも、将来に対する大いなる可能性がそのひとつにあるからだと思います。

ラムと暮らしていると、ラムから色々なメッセージを受け、いろんな事を言っているんだろうなと想像されます。散歩に行けば、足腰の衰えも防止できます。ラムには申し訳ないけど、ラムとの生活は私にとって想像と運動で、ボケ防止に活用させてもらおうと思います。ラムよ、悪しからず頼みます。