日本の産業で古くから、独創性・創造性は劣るが生産技術は世界一だと誇らしく教えられてきました。その生産を支えた力の多くが、社会の教科書で教わる集団就職の若者の力だったり、女子の力だったのではないかと思います。
生産現場では永年にわたって経験した技術を、愚直なまでに忠実に実践してきた賜物が高い生産性を生み、さらに世界に冠たる日本製品の高い信頼性が生まれてきたものと思います。

しかし今の日本製品の信頼性は、核燃料処理のずさんさ、雪印乳業の事故など先人には申し訳無いほど地に落ちてしまっているのではないでしょうか。中国の工業生産者は、今や中国の製品の方が日本のそれよりも数段信頼性が高いと、誇らしげに話しているのを新聞で見かけました。何がこんなに変わってしまったんでしょう。

その理由は単純ではないでしょうが、やはり日本の少子化、学校の荒廃に見られるような無秩序、労を惜しまない努力のなさなどにあるように思います。
今、高校生までに奉仕活動を義務付ける議論がなされていますが、これとても根底を流れる何かが欠けていることを補うと言う点では、多いに意義があるかもしれません。
生産現場で必要なことは、永年の経験で生まれたマニアルを、手抜きせずに楽をせずに守るということなのではないかと思います。

また信頼性の高い製品は、信頼の置ける生産者の活動の結果であることを考えると、一人一人の人間性にも信頼性を生む源があるように思います。いいころがげんな集団からは、いいころかげんなものしかできないことは当然のことでしょう。その事を教える原点は、やはり家庭ではないかと思います。