毎朝の通勤電車、決まった時間の電車には決まった顔の人を見掛けることがよくあります。まして始発電車だと、座る座席もほぼ同じ場所になってしまうから面白いものです。
勇気を出して声を掛ければ、毎朝顔を合わせている人なので次からは世間話も出来るんでしょうが、そう思っているうちに顔を見なくなってしまいます。
毎日のことでもあり、毎日決まった時刻に発車する電車を使うことが多いので、決まった時間に会社の最寄りの駅に着きます。そしてこの所、駅のホームで決まってみかけるようになった光景があります。

ホームから改札口に通うじる階段にエスカレータが設置され、階段を上る方にとっては楽になりました。ただ階段の幅の半分ぐらいを占有しているため、歩いて昇降する方には階段が狭く通りにくくなりました。
通勤時間のラッシュ時決まってみかけるようになった光景とは、このエスカレータに立ち入り禁止のチエーンが張られ、数人の駅員さんがエスカレータの上と下で待機しているのです。エスカレータは使えないので、階段は狭い上に昇り降りの乗客で一層混雑します。こんなラッシュ時に何をしているかと思っていましたが、様子はすぐに理解できました。
車椅子の乗客が次の電車で到着し、このエスカレータを使って改札口に向かうそのための準備をしているようです。それにしても仕事とはいえ駅員さんもご苦労なことで、そして随分仰々しいなという感じがします。
こんな光景を目にして何日か後、車椅子の乗客が実際にこのエスカレータを利用する場面に遭遇しました。お母さんらしき人に車椅子を押され、駅員さんに支えられて娘さんが車椅子ごとエスカレータで降りていきます。お母さんも娘さん、もひどく申し訳なさそうな姿が印象的でした。

車椅子を利用する障害者に対して、ビルや道路の施設に対するバリヤフリーの対策は随分進んできました。しかし欧米に比べて対策の内容は未だ十分でありません。
一番の違いを感じるのは、バリアフリーが施設の義務として建設段階から自然に取り入れられている欧米に比べ、日本では障害者のためにバリアフリーを後から施すという点です。障害者のための施設が、まだまだ特別な施設だという認識が強く感じられます。
先ほどの、障害者が車椅子に乗ってエスカレータで改札口に向かうこと一つをとってみても、エレベータがあればエスカレータを止めて駅員が待機するようなことも必要ないでしょうし、一番気になることは障害者が要らぬ負担を感じることではないでしょうか。
ラッシュ時にエスカレータを止めて、乗客の衆目に耐えて多くの駅員に助けられ、エスカレータを独占することの心の負担は並大抵でないだろうと思います。もっと障害者が、気楽に乗り物を利用できる時代が早く来ないものかと思います。

ところで我が家のバリアフリーはどうなっているかそんな目で見てみると、おおよそ何の対策も無いことに愕然とします。夫婦して年をとっていくことを考えると、何かの機会に考えねばと思います。
今、我が家で一番バリアフリーを望んでいるのはラムのようです。庭から入ってくると玄関のたたきで座って家の中の様子を伺っています。チャンスがあれば部屋の中に入っていくのですが、上がりがまちにちょっとしたバリアが張ってありあがることが出来ません。このバリアフリーは何時になることやら。