力道山、ジャイアント馬場、最近見ることはありませんが、この往年のスターが活躍した時代のプロレスはよく見ました。特に高齢の女性が、このプロレスを見て興奮の余り亡くなることがニュースにもなった時代です。
悪役の外人レスラーに、反則を交えとことん痛めつけられグロッキー寸前になった力道山や馬場が、空手チョップ、16文キック一発で息を吹き返し、外人レスラーに報復の正義の(?)鉄槌を見舞って、やんやの喝采を浴び観客が溜飲を下げるというパターンです。

「俺の目を見ろなんにも言うな、男同士のはらのうち・・」東映映画の鶴田浩二、高倉健が活躍した任侠映画に、理不尽な社会悪を相手に一人立ち向かう男の正義感を感じたのはもう随分昔のことになりました。
この任侠映画は、血なまぐさい出入りの場面があったり、男の一人よがりなところがあったりして、あまり女性には共感を持たれませんが、義理人情至上主義に涙する人も多く、任侠路線として一世を風靡しました。これに家族愛、兄弟愛か味付けされ、素敵なテーマ音楽がつけばご存知イタリヤ シシリー島の仁侠映画ゴット・ファーザーとなって、こちらの方は女性にも結構人気がありました。

三船敏郎の余りの男臭さに女性人気も限られますが、「用心棒」、「椿三十郎」も悪に立ち向かうニヒルな男を描いた娯楽映画の傑作でしょう。世間に背を向けて生きているようで、実は正義と人間愛に溢れた男を上手く描いた映画でした。
この流れを汲むテレビドラマが、これまたご存知「木枯らし紋次郎」ではないでしょうか。こちらはあまり男臭さを感じさせない中村敦夫が演じたこともあり、当時は女性にも人気の高かった番組でした。
「あっしにゃ係りのねえここってござんす」と言って、実は気になってそのことに係っては悪を懲らしめる正義感の強い男「紋次郎」は、やはり人間愛にあふれ見終わって心癒されたものです。

上に掲げた感想は、わたしの独断と偏見から思いつく男気のイメージです。こう見てくるとどうも「男気」という言葉は女性に対する差別語のように聞こえますが、決してそうではないと思います。男気の目指す目標は、正義、人間愛であって、別に男、女の区別がある言葉ではないと思っています。ただ、不正や悪を懲らしめる腕っ節と度胸と体力が無いと、目的とする正義や人間愛はなかなか獲得できないようです。それは女性には無い男の持つ特徴であって、そのことを持って単に男気と言っているように思います。

「義を見てせざるは勇無きなり」と言う言葉がありますが、どうも最近は「義を見てすると殺される」恐れがあって、義を感じても見て見ぬ振りをする風潮があります。男気もついつい弱気になってしまったようです。
ラムを見てると、家族愛、人間愛は言うことありません。また怪しいものを見ると、不審げに奥へ逃げて行っては小さな声で「ウフ」と正義感を発揮します。さしずめラムは男気のある女の子というとこでしょうか。