毎年旧盆のこの時期に行われる、夏の紅白といわれるNHKの「思い出のメロディー」を夫婦して見る機会がありました。見るといってもテレビではなく、実際に渋谷のNHKホールに出向いて、会場の観客として見るチャンスに恵まれました。今年の「思い出のメロディー」は第33回に当たり、今世紀最初ということもあって、2時間45分の生放送ということでした。

NHKの公開放送は一般によく知られているものとして、毎週行われている「ふたりのビックショー」、「いっきにパラダイス」、「ポップジャム」、「NHK歌謡コンサート」などありますが、暮れの「紅白歌合戦」、今回ご紹介する「思い出のメロディー」は、とかく年配向けの国民的行事と揶揄されますが、NHKの公開番組としては代表的なものでしょう。
まず会場へ入るには、往復はがきによる抽選の申し込みをして、当選しなければなりません。当選者3,000人に対する当選の確率は1%以下ではないでしょうか。幸い我が家は「紅白」も抽選に当たったことがありますが、その時応募したはがきはゆうに百枚は越えていました。
抽選について経験的に言えることは、仮に百枚のはがきを応募するとしたら、十枚単位くらいに別け、応募期間中の初めから終わりまで平均して投函すると、当たる確率は高いように思います。

8月11日 放送時間は午後7時30分から10時20分(8月18日 午後0時15分から3時にBS2で再放送)の生放送ですが、開場は6時、開演は7時20分からでした。
この日、関東地方は局地的な大雨が予想される生憎の天気ですが、天気を気にしない状況にあれば、久し振りの恵みの雨ということで大歓迎です。開場の何時間前から並んでも差し支えありませんが、案内には、会場の席は入場の際無作為に指定席券を渡すので、早く並んだからといっていい席がもらえるとは限らないことになっています。
そうは言っても、早くに並べばそれだけいい席がもらえるんではないかと思うのは人情、私達は午後の4時半過ぎには会場に着きました。もうざっと千人以上の人が並んでいます。生憎この時間頃から、渋谷は大粒の雨が降りだし、列に並んだ頃は土砂降りの雨となりました。
1時間以上並ぶのは覚悟の上、小さな折り畳み椅子と夕食のお弁当(会場の中は軽食が売ってある)、そして遠くの席から見るためのオペラグラス(会場でも貸し出している)は欠かせません。開場が6時、指定席が決まると開演までの時間に夕食をするという訳です。そして今回は雨具の用意、しばらく雨に降られた事もないので、降ればふったで喜ばしいことと、軽い気持で折りたたみの傘を持参しましたが、これが全く用をなさないほどのひどい雨でした。
久し振りの恵みの雨とは言え、開場までこの状態で待たせるのかと思い始めた頃、列が動き始めました。時間前に入れてくれるようです。会場の中に入って一息、開場の際渡される指定席が2階、3階席ならばまず歌手の顔は見えません、オペラグラスのお世話になります。期待と不安の開場時間までは30分以上ありました。
いよいよ開場です、指定席は連続して何人分ももらえますが、全員揃っていることが条件です。私達夫婦して二人分の連続した指定席券をもらいます、1階C3−5,6。1階席と見ただけでホッとしました、後はホールに入って席を確認するだけです。
ホールの入口にある案内板を見ると、C3は前から3列目で、中央に2列並んでいるうちの左側です。ホールの中に入って席を確認してニンマリ、これなら歌手の表情まで見えそうです。後は開演まで持参の弁当を食べて待つばかりです。
持参の折りたたみ椅子に座って、弁当を広げます。周りは私達と同年代の、そして女性の人達が圧倒的に多いように見うけました。弁当のおにぎりを頂きながら、これも素晴らしい楽しみではないかと感じ、塩じゃけと梅干のおにぎりが事のほか美味しく思えたのでありました。

「思い出のメロディー」の内容はテレビを見ての通りですが、テレビ用の照明の影響か、全体がやけに白っぽく見えました。特に近くで見る歌手の顔は真っ白で、さすが色白の人が多いなと思っていましたが、後でテレビのビデオを見たらそれなりの色で、これはテレビを見るほうが余ほど自然だなと思えました。
ナツメロ、演歌、国民的行事、だんだんこの手の催しが疎んじられてきていますが、これもれっきとした日本文化の一つではないかと思います。古い確立された日本文化は、素晴らしい文化として世界に認められたものが数多くあります。
今に生きる我々も、何か文化といえるものを後世に残すとするなら、今現実に進行している文化を大いに盛り立てるのも、今に生きる者の努めのように思います。
そんなことを思いながらビデオを見ていましたら、オオオ・・・我々夫婦が写っているではありませんか。という訳で今回はホントに思い出に残る「思い出のメロディー」になりました。