’05.3.20

このところの中国、韓国の対日批判は、報道を見聞きして腹が立ちます。ナショナリズムの血が騒ぐとでも言いましょうか。その割には右翼団体の街宣活動が静かです。煽る訳ではありませんが、もっとも千葉のような田舎では聞こえてこないのかもしれません。

どうしてこんなにも中国、韓国の若者が、先の戦争を体験したわけでもないのに先頭に立って対日批判をするのだろうか、不思議な気がします。むしろ過去は昔の人のこととして、政治にしろ経済にしろアジア諸国の若者世代で、欧米に負けない連合体を構築していこうという発想にならないのだろうか。
それには日本政府の過去に対する清算はあまりにも不明瞭で、日本国民のどれくらいの人がはっきり認識しているのだろうか疑問に思います。前にもこのコーナで書きましたが、私も分からない部類の一人です。
このことは後で触れるとして、もうひとつは中国、韓国の日本に関する教育内容にあるようです。新聞にでていましたが、名前を失念して残念ですが、30年来韓国と付き合いがあり研究もしてきた方が、過去のトレンドからこの先の韓国と日本の関係をこう言ってました。
「今の韓国の日本に関する教育から、若者たちがどんな考え方になっているのか、もはや過去の流れから推し量れない方向に向かうのではないか」と。明らかに今の若者と、戦争を体験してきた韓国民とは断層ができているというのです。
日本語が話せる韓国人の世代と、情報でしか知らない今の韓国人とは別の認識で付き合わないといけないようです。

中国の反日行動を欧米やアジアのマスコミはどうみているのでしょうか。実態を知る手掛かりになるんではないかと思い引用してみます。

フランスのルモンド紙
日本が第二次世界大戦中に犯した罪を否定するのを、中国人が非難するのは間違ったことではない。日本政府は1995年当時の村山首相が中国に表明した「深い反省の念」を忘れてはならない。日本は、国連の常任理事国入りを目指す今こそ、隣国の声に耳を傾けるべきだ。
だからといって中国政府のデモに対する「容認」は正当化できるものではない。中国は国内向けには「歴史」を政府に対する国民の不満をそらす道具として利用し、今や反日運動は、中国の若者が不満を発散させる唯一の手段になっている。

ドイツのハンデルス・ブラット紙
過去の占領支配に関連付けられるすべてのことに、中国国民の感情は煮えくり返っている。資生堂やソニー、トヨタへの愛着にかかわらず、若者を含めた多くの人々の間に反日感情が高まっている。過去の苦痛とともに中国の抗議行動には別の理由もある。
民主主義や人権のため、拡大する社会格差への抗議のために街を練り歩くことはできないが、反日なら可能だ。隣国への感情的抗議は、中国政府によって全く別の理由による不満のはけ口として利用された。
日本政府はもう過去を美化することを止めたほうがいい。そうすれば、中国国民の感情が利用される危険も避けられる。

イギリスのフィナンシャル・タイムズ紙
日本は第二次世界大戦中の残虐な行為に中途半端な謝罪しかしてこなかったが、ドイツは欧州でのナチスの残虐行為を全面的に認めてきた。和解には被害者の許しが必要だ。欧州の人々がドイツの過去を許したようには、中国人は日本人を許せないようだ。
長い間、中国共産党は日本の戦争犯罪をじかに体験してない若者に対して、反日感情を植え付けてきた。戦後の日本の平和主義と中国への開発援助の実績を伏せたまま、日本の歴史歪曲に不満を述べてきた。
中国の歴史教科書は中国自身の指導者によって引き起こされた飢餓や流血事件、混乱に目をつぶり、日本の過去の残虐行為と再軍備の脅威にばかり焦点をあててきた。
中国は共産党体制を正当化する根拠を、社会主義イデオロギーからナショナリズムに乗り換えたようだ。これは中国の安定と東アジアの安全保障にとって危険なゲームだ。事態の沈静化に向け日本は過去を正直に認め、無条件に謝罪すべきだ。中国も和解の手をさしのべる用意が必要だ。

シンガポール紙
不快になるほど繰り返された指摘だが、日本が戦時中の暗黒の過去を認めようとしないことが問題なのだ。事実の継続的な否定は手におえない病である。それゆえ日本の首相が靖国神社を参拝するたびに中国と韓国の激しい非難を受ける。
日本政府は「遺憾」というが、真の後悔に基づく行動には見えない。日本は今すぐ過去に向かい合うべきだ、緊急性はこれまでよりもずっと高い。日本が米国との安全保障協力で中国に対抗姿勢を示したと、中国世論は硬化しており、容易にまた惨事が起こりうる。

中国政府が自国民をどう指導していこうと、それは中国のことであって日本がとやかく言う問題ではないでしょう。逆に中国や韓国は同じようなことについて、日本を非難しています。
ただ問題は、日本政府が過去のことを他国からとやかく言われないようにする責任が果たされてないことに、日本国民として憤り感じます。そんなことをいつの世代までも引きずらないで欲しいと思います。なぜこれが今の日本政府もできないんでしょうか。

いま高校で教えている世界史の授業の実態は知りませんが、私が教わった世界史は古代メソポタミア文明からはじまって、第一次世界大戦の始まる前くらいで授業は終わりました。今を生きる人間として、何で世界がこんな枠組みになっているのか肝心な現代史の授業が時間切れでなしに終わりました。
中国や韓国が歴史教科書で問題にしている尖閣諸島や竹島の領土問題を、実際の中学教育の場でどう教えているのか、教えるような時間があるのか知りたいものです。

今を生きる日本国民にとって、これから先を担う若者たちのためにも、残された問題をひとつでも片付けて先に進んでもらいたいと思います。年金に代表される国内の問題、こんどの反日騒動をひきおこした戦争責任の問題、政争にあけくれることなく真剣に日本のために仕事をして欲しいと思います。
みんなそれぞれの立場で、できる限りの努力をしているんだから。