’05.12.24

あるブリーダーのサイトを見ていたら、子犬の販売について次のようなことが書いてありました。

一般販売
当犬舎においてブリーディングストックとして認められなかった子犬達の販売です。個人の方に愛玩犬として可愛がって頂くことを前提としています。
繁殖行為は基本的にお勧め致しません。該当犬のクオリティーの程度により価格は変動します。

ブリーディングストックとは
ブリーダー自らが今後の繁殖に必要と認めた犬を指します。
犬種の維持、発展のためには、厳選されなければなりません。本来、ドッグショーは、これらの犬の比較の場であり、ブリーダーが今後の繁殖のための参考とし、また種犬として必要と認められる個体を探す場所です。
対象外となった犬達(俗にペット用と呼ばれる)は作業犬、愛玩犬として譲られることになり、タイプの狂いや、歯列異常、陰睾丸等の欠陥を抱えている場合があります。
一般の生活に支障となるような欠陥犬は販売されるべきではありません。当然、ブリーダー自身のレベルによってそれらの犬のクオリティーは大きく変わります。

ショードッグの販売
ドッグショーにおいてある程度の成績が見込まれると判断された子犬達の販売です。
当犬舎の繁殖目的をご理解いただき、ショードッグオーナーとしてご協力いただける方にお譲りします。繁殖用途でご希望の方はこのクラスが最低ラインとなります。
該当犬のクオリティーの程度により価格は変動します。

繁殖用途でご希望の方へ
当犬舎では繁殖用途としての一般販売は、一切行っておりません。
ブリーディングストックが当犬舎の繁殖犬であり、お客様にそれ以下のものを繁殖犬としてお譲りすることは非論理的です。最低限、ショードッグクラスをお求めになり、当犬舎のアドバイスのもと、繁殖をするのがよろしいかと思います。

ブリーダーとしてはしごく当たり前のことを書いているのでしょうが、ここまではっきりと子犬の販売方針を掲げているサイトを見たのは初めてでした。
これを読んで、私がこの夏サリーの子犬を取ろうとしたことについて、あらためて考えさせられました。どういう目的でサリーの子犬を取ろうと思ったのか。幸か不幸か神様は微笑んでくれず、子犬は授かることができませんでした。

サリーをひょんなことからドックショーに出陳するようになって、今や私の大きな楽しみの一つになっています。
ドッグショーに出陳する目的は、サリーと気持ちを一つにしてリンクを走ってみたかったからです。ドッグショーでサリーのラブとしてのタイプやクオリティー等を確認して、ブリーディングしようと考えたことはありません。
普通の愛玩犬として譲り受け、ジュニアーの時ショーに出してたまたまその時のジャッジに認められ、オーバースペシャルでBOBになりました。両親は優れた血統のラブですが、サリーをいわゆるショードッグとして譲り受けたわけではありません。

最初に掲げたブリーダーの言葉ではありませんが、どんな優れた両親でも、ショードッグといわれる犬が生まれる確率はわずかなのでしょう。
ショードッグとは、もって生まれたタイプ、クオリティー、サウンドネス、バランス、キャラクター、そしてその時のコンディションが優れた犬が選ばれます。これは決してその犬種として特別のものでなく、純血種といわれる犬は持ってなければならない資質ではないでしょうか。
専門家のブリーダーが、作出する子犬ですら難しい純血種(血統書で保証された犬ではなく)を、サリーの子犬にどれだけ期待することができるでしょうか。

大袈裟な言い方をすれば、日本の血統書で保証された犬の純血種のクオリティーは、プロであれ素人であれブリーダーの双肩に掛かっているといっても過言ではありません。
我が家の愛犬をそんなに難しく考えることは無いかもしれません。が、日本における質の高い純血種の保存ということを考えると、遺伝的に問題の無い犬であっても、飼い主の強い意志が無い限りは安易なブリーディングはできないように思います。