’06.12.24

近くの整形外科病院の先生に紹介された松戸市にあるこの整形外科病院は、県内外でも有名な病院で特に関節疾患に対しては著名な先生がいる。
これから紹介する内容は、入院中に患者同士で見聞きした情報をもとに、私の得意とする独断と偏見で書くことをお許しいただきたい。

K先生を紹介してもらえたのはラッキーと書いたが、肩腱板断裂をはじめ関節疾患の患者さん達がこの病院にたどり着くまでの経緯を聞くと、町の整形外科医の不勉強さには驚くばかりだった。
この病院で疾患を正確に診い出だして手術に至るまで、2、3ヶ月から半年、長い人では一年をかけ転々と治療をつづけてきているのだ。
膝の半月板の疾患でヘルニアの治療をさせられたり、腱板断裂の治療にマッサージや鍼、灸の治療をするはめになったり、専門の先生すら紹介できず様子を見ましょうと同じ治療をさせられたり、もう少し町の整形外科の開業医が高齢者相手のリハビリ中心の診察で明け暮れることなく、最新の医療情報を勉強してまともな診察をしてもらいたいとつくづく思う。

K先生は私の右肩のMRIを診ながら、2センチと結構大きな腱板断裂でやはり手術が必要だとのことであった。
手術をしないと一時的に症状は軽くなるかもしれないが切れた腱は繋がることなく、早晩痛みが再発して関節液がもれ、肩関節の破壊につながるらしい。そうなると手の施しようが無くなるとまで言われた。

この再診を受ける前に、手術をするかどうか自分なりに決心しておかなければなければならないと思っていた。K先生の初診で、この先生はすでに手術すべきと判断しているのだ。
自分なりに決心するにしても、他の専門医のアドバイスを受けられればこれに越したことはない。「私の場合、年齢、生活、疾患の状況から保存療法でいいか、それとも手術すべきか」という質問に対してアドバイスをもらえたら、どんなにか勇気をもって判断し決心することができるだろう。
こんな私の悩みに対し、「手術すべし」と背中を押してくれたのは、またしてもインターネットの情報だった。いろいろと検索しているうちに、「このサイトをあなたの整形外科医のセカンドオピニオンとして利用してください」というサイトに出会ったのだ。

この病院の腱板断裂の手術は、アンカーボルトを使わないことを特徴としている。上腕骨頭に穴を開け、ビニール糸で切れた腱を結び付けるというものだ。
手術は内視鏡による手術で済むか、断裂の具合によっては切開するかもしれないと言われていたが、結果的には内視鏡による4時間くらいの手術だった。
内視鏡手術の傷跡は、5ミリ程度の傷が肩の周りに5箇所ありほとんど分からない。内視鏡手術によると、痛みが軽く患者への負担が少ないとあったが、切開による手術を受けた患者との情報交換では、必ずしも宣伝通りではないように思った。
切開手術の傷跡は4、5センチと大きいが、年を取った者にはあまり関係ない傷跡だ。筋肉を痛める訳でもなくその後のリハビリも全く同じで、手術時間も1時間程度で終わり、その分手術代も割安になっていた。
また切開による手術は医者が直接断裂部を接合できる分、手術も確実で手術する時の患者への肉体的負担も、少なくて済むように思うが如何だろうか。

この病院ではクリニカルパス(治療計画)が、何種類かメニュー化されている。世間では肩腱板断裂はあまりお目にかかれないが、その実患う人が多いということだろうし、事実この病院に入院してみて同じ病気の患者が多いのには驚いた。
私のように外傷による場合ははっきりしているが、加齢とともに自然に筋肉が弱りいつ断裂した分からないという人も多い。また断裂しているが症状がなく、ちょっとした不自然な腕の動作が原因で発症する人も結構居た。
肩に違和感を感じたら、先ず疑ってみるに越したことはないようだ。インターネットの情報では、60歳をすぎると数十%の人が大なり小なりの断裂をしているとある。いまだ原因がはっきりしない50肩といわれるものも、この類のようだ。

クリニカルパスは同じ症例を見聞きしていると、入院は長くなるが、安全確実で結果的には完治するまでの期間が短くなるのは、ギブスを付けての安静入院を4週間するのがいいようだ。
4週間安静にしていると、手術した上腕骨と腱は30%くらい結合するらしい。4週間を経過するとギブスも取れ、腕は自由に動かしてよい。リハビリは手術の翌日から始まる。
退院してから自分でリハビリする方法をマスターするために、ギブスが取れた後も入院したままリハビリをさらに1週間、つごう5週間の入院ができれば一番いい。

その後の通院によるリハビリを2ヶ月間続けると、そのころには骨と腱はほぼ100%結合していて、大体正常に近い肩関節機能は回復できるとある。完治までは術後6ヶ月を要するらしい。
私は今、通院によるリハビリの一ヶ月目の途中だが、まだ肩の周りの筋肉は拘縮して痛いし、腕の可動域は60%位しか回復していない。

整形外科での手足の病気は、手術が終わるとひたすら安静を要求される。肩の場合は腕を固定していればいいので、動くのは自由だ。
術後の痛さは肩の手術が一番痛いと評判だったが、まさにその通りで2晩くらいはまんじりともしておれなかった。おまけに肩腱板断裂は寝ると痛いときているので、もっぱら起きて患者どうしで雑談をして時間を過ごすことができれば一番よろしい。
そういう状況での入院だったので、同病相憐れむで何人かの患者さんとはバカ話をしながら、ひたすら退院の日を待つ生活をした。いろんな患者さんとの雑談は、まことに得がたい貴重な経験であった。

今回患った腱板断裂が、私の生涯で唯一の手術で入院生活であることを願いながら、専らリハビリを続けているきょうこのごろであります。