’15.12.18
人間が作ったもので制御不能になったシステムが結構ある。一口に経済と言っても細分化するといろいろなシステムがあるが、総じて経済全般も制御不能なシステムの一つだろう。

インプット(原因)があってアウトプット(結果)がある。その真ん中にあるのが処理装置と言われるものだが、ブラックボックスと言ってもいい。
何らかの処理をして結果を出すのだが、その中身がよくわからない箱のようなものだ。したがって、これ全体(システム)のメカニズムがわからないので、人間では制御不能となる。

経済の中の金融システムに、インフレーションとデフレーションと言う現象がある。このインフレとデフレの経済現象でどちらがいいか議論されることが多い。どちらもメリット、デメリットがあって、総じてどちらともいえないと言う解説が多い。

アベノミクッスといわれる経済政策を政府が推進してどれくらい立つだろう。官邸のホームページをみるとこのアベノミクッス、3本の矢と称して大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を実施するとして、2本の矢まで放ったとある。
確かに日銀の大胆な金融緩和は、デフレ脱却の兆しが見えてきたと言われている。この日本のデフレは経済の低迷を意味していて、悪い経済をもたらす現象だ。いま、そのインフレからの脱却の兆しが危ないと報じられている。

少しずつ上がっていた物価の上昇率が今後鈍くなるとの見方が増えているという。
アメリカの利上げで新興国に流れていた資金が逆流し、新興国の経済の減速や個人消費のもたつきが懸念される中で、原油安が加速、企業や家庭の「物価は上がらない」という見方が商品の値上げを抑える可能性がでてきた。
物価が安く抑えられ、原油安が続くことは家計にとって大いにプラスと思うのだが、経済全般から見るとよくないと言われると、なんだか国民の感覚と逆なように思える。ここが経済のわからない点だ。

物価が上がらなければ企業の儲けは少なくなる、企業が稼げないと賃金が上がらない、賃金が上がらなければ庶民の購買力が落ちる、物が売れなければ設備投資もしない、挙句は景気が悪くなるの繰り返し、デフレのスパイラル現象が起きるらしい。

財政出動は国家予算との兼ね合いで政府が頑張ってみても、税金による懐具合との兼ね合いにる。ならば国が借金をして金を使うと国債の発行高が増え、国民や外国からの借金が増えてジリ貧になってしまう。
民間企業の成長戦略と言って政府が企業の幹部にはっぱをかけても、企業はせっせと内部留保に励んで将来の不安に備えてばかり。賃金を上げたり設備投資をするには、倒産の不安材料があるかぎり踏み切れない。
アベノミクスの第2、第3の矢はなかなか当たらないでいる。

日銀の黒田総裁は「長い目で見れば物価は上昇していることに間違いない」という。景気はよくなっているのだろうか。
日米の株も上がったり下がったり、それこそ長い目で見れば株価は低迷して右肩上がりにはなってない。景気の指標はいろいろあるが、何が実態を表しているのかわからない。
巷では証券会社や銀行のセミナーばやりだが、占い師の寝言と同じであたるも八卦、あたらぬも八卦のたわごと。
年末は宝くじでも買って、一人景気をつける夢でも見るしかないのだろうか。さみしい。