’15.12.31
2015年も今日で終り、柄にもなく少し大きなことを書いてみようと思う。世界の人を悩ます過激派組織ISのことだ。といっても、これから書くことはアメリカの国際政治学者イアン・ブレマーという人のインタビューの引用だ。

「ISは史上最強のテロリスト集団だ。原油や人質の身代金、遺跡からの出土品といった潤沢な資金源を持つ。構成員が若く、ITの習熟度も高い。国際社会にとって、ますます手ごわい敵になる。ところがアメリカやロシアなどの足並みがそろわず、掃討作戦が機能していない。

主導国を欠く『Gゼロ』の傾向が強く影響している。アメリカは世界の警察官を引き受ける意欲を失いつつある。欧州はさまざまな形で分断され、影響力が低下している。中国は国力を増したが、国際秩序の空白を埋める意思も能力もない。
アメリカが主導してきた国際秩序は、創造的破壊のときを向かえた。その行く末がまだ見えず、今は空位の状態にある。政治や経済の価値観を共有しないG20の枠組みは機能しない。

中国は今のところ、軍事面でアメリカに対抗するつもりはない。アメリカにとっての脅威は経済面での挑戦だ。中国がアメリカにサイバー攻撃を繰り返すのも、産業スパイの意味合いが大きい。しかし、米中経済は相互依存を深めており、それが決定的な衝突の防波堤となる。

日本についていえば、人口が減っても経済は発展し立派なインフラや社会保障制度がある。日本の将来像を描くとすれば、それは大きなシンガポールだろう。とても豊かで透明性が高く、アメリカと良好な関係を保ちつつ、中国からの投資も呼び込める国だ。
日米同盟の重要性は増している。軍事面の協力と言うよりも、経済成長や法の順守、人権の擁護といった面での連携が強く求められるだろう」

イアン・ブレマーと言う政治学者が見る日本の将来像が大きなシンガポールというのは、その前後の説明から決してけなしてはいないのだろうが、どうもぴんとこない。もっともシンガポールを知らないものとしては、想像すらできないのでとやかく言う資格はないが、世界を動かす役者からは程遠い国のような気がする。
日本の政治指導者が、かつて明確な日本の将来像を示してくれたことがないので、国民の一人としてそれを語るのは口寂しい限りだが、将来像は持っている。
それを実現するのが、経済力か、文化の高さか、はたまた軍事力か、それぞれの力が備わった総合的な力なのか、あるいは飛び抜けた独裁者の指導力か。いずれにせよ、目指す国の姿が見えない限り、何が必要な力なのか考え付かない。

国民政党のある団体から戦争反対の署名を求められた。日本は本当に戦争に向かって進んでいるのだろうか。今朝のNHKを見てたら、戦争反対運動をする鶴見俊輔と愛川欽也の活動が紹介されていた。何だが意図のある放送のように思えたのは偶然か。「マッサン」の総集編も放映されたが、先の大戦の虚しさが強調されている。
狂信的な好戦政治家が国を動かすことはもはやできないと思う。しかし、安倍政権はどうなんだろうと国民は疑っている。日本は戦争法案を可決したと言っている。
生活や人生のリセットはできないが、せめて気持ちは新年が来ることによってリセットして、将来への希望を持ちたいと思う年の瀬だ。