’16.12.5
米大統領選でのドナルト・トランプの勝利は、自国のみならず世界に色々な影響を及ぼしている。それだけ、米国の存在感は大きいということだろう。
ショッキングな見出しだが、いつものように日経の平川克美氏のコラムからのつまみ食いだ。サブタイトルに「皆で不満 分かち合おう」とある。
氏は今の世界の状態を、相次ぐテロ、先進国が人口増大から人口減少へ、経済成長社会から物価などが下がって全体としてバランスするような「定常化経済社会」へと移行する文明史的転換期を迎え、「移行期的混乱」にあるという。さらに続けて・・

「国民国家、デモクラシー、インターナショナリズムといった世界秩序の根幹が揺らぎ始め、代わってグローバル市場、強権的指導者による迅速な意思決定システム、排外的な競争主義としてのナショナリズムという新秩序が作られようとしている。大まかに言って今の世界をこう見ている」

「旧来の価値観が揺らいでいる大きな原因は、先進国では経済成長が難しくなったということだ。株式会社は経済成長を前提としたシステム。成長するから投資家は出資する。金利にしても年金にしても我々を取り巻く全てのシステムが成長を前提に形作れれている。成長が止まってしまうと、システムの基盤が揺らいでいく」

「成長論者は希望を言っているだけだ。成長すれば全てがうまく回る。成長してくれたらいいなと。だが、現実をよく見ると、日銀の物価上昇目標はいつまでたっても実現しない。所得格差は広がる一方。定常化に即した経済運営がなされてない」

「落語に『三方一両損』という噺があるがある。皆が少しずつ損すれば問題が解決するという。日本人はそれが得意なはず。これからは、少しずつ不満を分け合うという意味の『ルーズ・ルーズ』という生き方にシフトしなければいけない」

別の雑誌で亀井静香の話しを読んだ。
「トランプ氏が大統領になる今こそ、日本人は背筋をピシッと伸ばして、『日本の魂』を取り戻すべきだ。古来、日本人がもつ魂の中核にあるのは、みんなで助け合ってみんなで幸せになろうという考え方だ。昔から日本人は何か手に入れたら隣近所にお裾分けをした。
もちろん日本人にも欲はあるけど、”みんなで豊かになりたい”という気持ちのほうが強かった。西洋の文化は『遠心力』で強者と弱者を切り離すけど、日本は『求心力』で人と人とを結びつける。『和をもって尊しとなす』の精神が日本人の国民性なんだ」

亀井さんの日本人論からすれば、これからの社会、いや世界は日本人にとって大いに発展する世界環境になってくる。
そのためにも日本のリーダがしっかりしてほしいのだが。そこのところを、亀井さんは次のようにも言っている。
「日本の保守は『親米派』ばかりでロクな奴がいないが、晋三総理は違う。経団連に賃上げを要求するなんて歴代総理は誰もやらなかった。
確かにおぼっちゃんだけど、俺と同じで、みんなで幸せになって美しい国を作ろうという気概がある」
まあ、花札をもってトランプ氏に面会しようとした人なのであまり尊敬はしてないが、晋三内閣が日本のために頑張ってくれるのは大いに歓迎するところだ。