’16.1.26
日本とフィリピンの国交正常化60年にあたり、天皇、皇后両陛下が今日から5日間、フィリピンを訪問されるという記事がでてた。ご高齢の両陛下の海外訪問には頭が下がるし胸が熱くなる思いがする。
天皇陛下のニュースでよく報じられるのは、皇太子時代から歴史をよく学ばれ、日本の立場を踏まえて海外に出かけていることだ。おおむね謝罪の気持ちの訪問が多いようだ。

記事によると、太平洋戦争において日米の決戦場になったフィリピンの被害は、全土で死者111万人、物的損害は58億ドルを超えているといわれている。
米軍の空襲と砲撃による死者も多いのだろうが、反日ゲリラ討伐、スパイ摘発名目で日本軍が行った市民の虐殺などもあり、戦争がもたらした災厄としてフィリピンの人々に深い恨みをのこした。
しかし、中国・韓国との間で再三問題となる政治家の歴史認識を巡る発言も、フィリピンに関してはほとんどない。

戦後日本が慰霊行為と遺骨収集を行うにあたって、戦没遺族のフィリピンの国民感情への配慮と日本の加害行為のおわび、この積み重ねがフィリピン側の寛容な姿勢を導きだし、「おわびと許しの好循環を」を生み出したといわれている。
天皇夫妻は皇太子時代の62年(昭和37年)11月にフィリピンを訪問されているが、大きな反発もなく両国の親善に弾みをつけた。

太平洋戦争で日本のために大きな被害を受けたフィリピンは、戦後もっとも反日感情の強い国だったが、現在は親日的といわれている。そこには日本とフィリピンに「謝罪と寛容」の姿勢があったからだ。
日ごろから謝罪の必要のない行動をしたいものだが、あったときに相手の寛容を得るには、なみなまみならない努力の積み重ねと時間が必要なことを、歴史が教えてくれているのだろう。