’16.6.2
今日の朝刊の1面見出しに「消費増税延期を表明」と大きく出ている、安倍首相が税率10%への引き上げを2019年10月まで2年半先延ばしにする方針をきのう正式に表明したのだ。
その理由は、世界経済の下振れリスクに備えるためだという。日本経済の下振れとは口が避けてもいえない、それは自分の責任だから。

日本国の財政状況を改善するためにも、年金や医療といった社会保障の支出を賄うためにも今増税が必要なことは分かってはいるが、安倍首相は今はやりたくないという。
いろいろ理由はあるだろうが、なんといっても一向に上向かない日本の景気、はっきりしたデフレからの脱却ができてないなど、これ以上の日本経済の悪化が一番の気がかりだからだろうと思う。

税金を上げるということは、政権にとってタブーのようだ。
税収を増やす方法はいろいろあるようだが、国民から満遍なく取れる消費税は手っ取り早くって一番確実な方法だ。この魔法の税法を使おうとして、幾多の政権が翻弄されつぶれたことか。考えてみれば、消費税という税金ができてそんなに経ってないことにきずく。
1978、9年(昭和53年ころ)大平首相が消費税導入を打ち上げて名実ともに途中で倒れ、1987年(昭和62年)中曽根首相は売上税法を上程するも廃案になり、1989年竹下首相になって初めて税率3%の消費税ができた。

1994年(平成5年)かの細川首相が消費税を廃止して、7%の国民福祉税導入を唱えたが翌日に撤回する茶番もあった。1997年橋本首相になって消費税率5%に上げたが翌年の参院選で大敗し退陣してしまった。
あの悪夢のような民主党政権になり、2010年菅首相が消費税率10%構想を表明して翌年の参院選敗北、野田首相のとき消費税を2014年4月に8%、2015年10月に10%にする改正案を提出、民主、自民、公明の3党で総選挙と引き換えに合意、選挙で民主党は大敗して政権からひっくり返ってしまった。
尻馬に乗った安倍首相は2014年、難なく消費税を8%にしたが10%の引き上げを2017年4月に1年半延期するといって参院選に大勝、参議院のねじれを解消し衆参過半数の安定内閣を手に入れた。
そして、準備期間を必要とするいまの時期に、きのう再度2019年10月まで延期するとぶち上げた。こうみてくると、なまじ日本経済の後退を心配しているというよりも、内心今年7月に行われる参院選を心配して再延期したとも考えられる。そうだとしたら今の首相もたいしたことはないなと思えてしまう。

今の時期の消費税10%上げは、国内だけでなく利害の絡む海外からも賛否がある。国の財政や社会福祉を考えると消費税20%もやむなしとして、実際にそれでやって福祉の充実に国民も満足している国もある。
経済は政府の問題だけではないかもしれないが、国の財政や社会福祉は間違いなく政治の問題だ。国家100年の計を考えるのも、そのときどきの政権の問題だ。
国民は政府を選ぶことができないのか、選挙があるじゃないのという声はむなしい。