’16.7.6
投資家の間で不安心理が広がると日本の円が買われる、外国為替市場の常識だそうだ。経済には全く疎い私にその理屈が分かるはずもないが、いつものように新聞記事を踏まえてその理屈の受け売りをする。

市場心理の悪化が円高を招く光景はこれまで何度も見られた。日本経済はデフレに苦しみ、労働人口の減少や設備老朽化といった構造問題も抱える。財政赤字も巨額だ。
日本経済の実力を示す潜在成長率はわずか0.2%程度に低下、2%ともいわれる米国との差は大きい。なのになぜ円は「安全」なのか。奇妙な現象のようにも見える。
「国力と為替相場の関係は希薄」といわれる。経済が混乱すると通貨が売られる(相場が安くなる)ケースもあるが、逆に成長力が弱い国の通貨のほうが強くなることもある。その理屈を解析する。

その一つが、物価と為替相場の関係だ。モノやサービスの価格が下がるデフレのもとでは、通貨の価値(購買力)は上がる。より少ないお金でモノやサービスを買えるようになるからだ。そして、一般的に購買力が上がる通貨を持つほうが得だから、為替相場も上がりやすい。
不安なときは購買力が下がりにくい円を買っておこう、そんな心理が働いても不思議はない。「デフレ通貨だからこそ円が逃避先になる」という理屈だ。

二つ目は金利と為替相場の関係だ。今日の円のように超低金利の通貨は売られやすいというのが普通の理解だろう。ところがリスクオンの局面では、投機筋の間で超低金利通貨の円を借りて、金利は高いが相場変動リスクも大きい通貨を買う「キャリー取引」が活発になる。
だが、市場の混乱時にはむしろ超低金利通貨のほうが買われやすくなる。不安になった投機筋が「キャリー取引」を一気に手じまうからだ。その過程で大幅に円が買い戻されるので円が急騰するのだ。
以上のメカニズムが働くことで、リスクオフの時には条件反射的に円が買われる傾向にあるというのだ。

日本が世界最大規模の対外純資産(企業、政府、個人などが海外に持つ資産残高から負債残高を引いた値、15年末で約339兆円ある)を抱える点も、円が「逃避先」になりやすい。なぜかというと、経済ショックの時には日本人が海外に持つ外貨建て資産を売って引き上げるという思惑が広がるからだ。

「経済」、「市場」、「為替相場」、人間の作り出した経済のシステムだが、これらの怪物は人間の手を離れてひとりでとんでもない動きをしているように見える。もはや人間のコントロール不能の所で動いているようにも見える。
そんな時人間の選んだ道は原点回帰の破壊、戦争によって人間がコントロールできる手段を得ようとする。世界各地で起きているテロも、自分たちではどうしようもできなくなった社会システムを破壊している行為のように思える。
グローバルな情報発信がそんな妄信を失くそうとするが、どうも逆の方向に発展、利用されているように思える。
最後のくだりはいつもの独断と偏見だが、心穏やかに暮らせる時はくるのだろうか、そんな救世主が来ることを妄想する。