’16.7.31
中国の南シナ海の主権を主張する「なぜ」・・・いつもの新聞の受け売り。

「中国は漢王朝から南シナ海の管理を始め、徐々に固めていった」。中国の主張は、近代国際法が及ばない2千年前からの歴史を根拠とする。歴史の浅い米国などは口を出す資格はない・・中国はそういわんばかりだ。
中華民族の伝統的な発想に海洋進出はなかった。世界の中心にいる皇帝の徳を慕って周辺国が朝貢する。それが望ましい姿だった。
今、南シナ海にこだわるのはなぜか。中国共産党の基本思考は西洋に由来する。帝国主義の時代、西洋列強はすき放題に侵略した。被害者の中国がようやく力をつけた以上、挽回しなければならない。それが本音だ。
中国は経済規模で世界2位になり、軍事的実力も向上した。かつての純粋な海への憧憬は、力による海洋進出に変質し、南シナ海を含めた現状変更に突き進む。
「自らことを引き起こさない。だが、事を恐れもしない」。習近平国家主席は勇ましい。過去の歴史では、新興勢力の勃興が性急なら世界は混乱し戦争を生んできた。同じ轍を踏むことは許されないが・・・。

中国関係を考えると際、重要なのは中国の対外戦略を俯瞰する観察眼だ。
中国が重視するのはまず対米関係だ。安全保障、経済両面で命運を左右すると見ているからだ。次に欧州。ロシアは米欧けん制のためにも大切である。対日外交の位置づけは低い。
1990年代までとは大きく違う。対米偏重と日本の地位低下。この現実を受け止める冷静な分析力がなければ、今後の対中戦略で失敗しかねない。

南シナ海での中国の主権を認めない仲裁裁判所の判決。苦境に陥った中国の習近平国家主席は受け入れを拒む強権的な態度だが、一方では「微笑み外交」に微修正しているようだ。
なにおおいても、日本の対中国外交政策がこれほど大事な時期はない。野党だ与党だ、憲法改正反対だと、内輪もめしている間に日本を取り巻く状況は大きく動いている。
日常の中に非日常がおともなく進行している、日本国民を苦しめるのは自然災害だけではない。