’17.2.23
今国会の予算委員会では、’16年7月の南スーダンの内戦の防衛省の日誌が、あったのなかったのと女の戦いがテレビ中継され、朝昼晩のテレビの話題は、金正男暗殺事件でスパイ映画のような事件の謎解きがかしましい。日本はそれほど平和な国なんだろう。

一方で、日本の安全保障についてほんとに大丈夫か、何かあったときのことをほんとに国民に分かるような議論を、国会でもメディアでもしているのだろうかと心配する学者もいる。
数日前、ケーブルテレビで昔の映画をやっていた。北朝鮮がホワイトハウスを爆破占拠し、米国が配備している核施設を自爆させて、アメリカを北朝鮮が味わっている飢餓状態にしようというストーリーたった。
なんだか、トランプ大統領になってからのアメリカの頼りなさをみると、時宜にかなった現実味をもった映画だった。それだけに、朝刊で読んだ日経の経済教室というコラムが気になった。いつものつまみ食いの戯言だ。

「いずれ米国発の予測不可能な衝撃波が、日米関係のみならず、世界の政治や経済を揺さぶることも想定しておかないとならない。
まず考えておくべきは、トランプ政権が中東のイスラム過激派への軍事的攻勢に出ることである。トランプ大統領の親イスラエル姿勢も際立ち、イラン核合意の見直しが中東情勢混乱の引き金を引く可能性がある。
また、北朝鮮の核・ミサイル問題に対しても『あらゆる選択肢』を検討中だとも伝えられている。この中東情勢の混乱と朝鮮半島の動乱は、日本による集団的自衛権の行使用件である『存立危機事態』へと発展する可能性がある。
トランプ大統領の発想からすれば、国際情勢が極端に混乱し日本の『存立危機事態』に近づけば、日本に集団的自衛権の行使を求めてきても不思議ではない。
図らずもそのことは、今回の対米外交の焦点だった日米安保条約第5条をめぐる議論で、改めて示された。

日米国防大臣の共同会見では、日本はもっぱら米国による尖閣諸島防衛問題として扱っている。ところが第5条は『日本国の施設の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃』に対することをうたっており、それが定めているのは米国による日本防衛義務だけではない。その逆もあるということだ。
そして今や、『日本国の施設の下にある領域』を超えた『存立危機事態』と拡大している。」

我々国民は、釈然としない与野党の国会議論の中で、いつの間にか成立した「存立危機事態」が、こんな解釈までできることを国民は認識しているだろうか。

「そこには議論を深めるべき日本の安全保障政策の本質論がある」

日本人は「戦争」、「防衛」、「軍備」などの言葉を耳にすると、日本は関係ないと聞き流すというよりも耳を塞いでしまう気がする。そのあとには、念仏のように「憲法第9条死守」、「憲法改正反対」の大合唱が起きる。議論はそんな罵声の中で打ち消されてしまう。
日本は今こそ自衛しなければならないというが、その手段や内容がさっぱり見えない。日本の安全保障問題が徹底議論される前に、世界は抜き差しならない戦闘状態になるなんていう悪夢現実にならないことを祈るばかりだ。