’19.6.8
ショッキングな記事が出ていた、日経「大機小機」のコラムから何時ものパクリ。

人工知能(AI)の発達は経済社会の様々な分野に計り知れない影響を及ぼすが、税金の世界でも同様だ。税金が取れなくなるのである。

まず、やってくるのは大格差社会だ。多くの労働者の賃金は下がり、一部の高所得者に富が集中する。AIを操る高所得者はタックスローヤーなどを使って軽税率国やタックスヘイブン(租税回避地)に所得や富を移転させ、場合によっては自ら居住地を移転してしまう。
中間層は薄くなり低所得者から税金は取れない。日米とも人手不足でも賃金が上昇しない原因の一つはAIによる労働代替だ。
一方で、米企業の最高経営責任者(CEO)の報酬は一般従業員の361倍に達している。

次に、ビックデータを集積し、アルゴリズムを使い、独自の事業モデルを無形資産化して、タックスヘイブンに富を蓄えるプラットフォーマーの巨大化だ。現在、20ヵ国・地域(G20)はデジタル経済のもとでGAFAに税負担を求める議論を進めているが、たとえ合意できても、国際的なプラットフォーマーがユーザー居住国(消費国)に支払う税金はほんの一部だろう。

最後に、ポイント制や物々交換アプリなど、そもそも金銭価値で評価できない世界の拡大だ。「スイス人が米国人に1時間料理を教える代わりに、米国人がスイス人に英語を1時間教える」というマッチングサービスが世界で広がる。このビジネスモデルではスキルとスキルを交換するので、金銭価値が入り込む隙間がない。誰が、どうやって課税するのだろうか。

AIがもたらす社会はユートピアか、ディストピアか。ユートピア派は「AIは使いこなせばいい」というが、そのためには個人にはAIに打ち勝つ知力と教養が、国家には財源が必要となる。国家は、いかなる場合にも財源を確保していく使命があることを忘れてはならない。

今の世の中、AIなる怪物の正体をつかみ切れないでいる。国を挙げてAI教育をしなければならないと声高にいうが、どんな教育をすればいいのかカリキュラムがあるのだろうか。
数学、物理、医学、そして言語が絡む文学、ありとあらゆる知識と教養が求められるだろうが、そんな教育を誰が何処でやれるのか。まさに国運がかかっているが、その脅威を感じているのが米国で、脅威の先に中国がいる。監視、管理社会だからできる知識だろう。日本はどうする。
そんな世界からさっさといなくなるに越したことはない、まったく無責任な年寄になってしまった。