’20.4.9
新型コロナウィルスの感染拡大は人類にとって歴史的な危機になりつつある。世界は今後どう変わっていくのか。人類はコロナとどう戦っていけばよいのか。
仏経済学者 ジャック・アタリ氏(1943年生まれ、ミッテラン大統領の特別顧問を務めた)のインタビュー記事からのパクリ。

ー 新型コロナは世界経済をどう変えていきますか
危機が示したのは、命を守る分野の経済価値の高さだ。健康、食品、衛生、デジタル、物流、クリーンエネルギー、教育、文化、研究などが該当する。
これらを合計すると、各国の国内総生産(GDP)の5〜6割を占めるが、危機を機に割合を高めるべきだ。これからの企業は、これらと関係のある事業を探していかなくてはならない。

ー 世界経済を立て直すのに必要なことは
誰も第一の優先事項とは考えてないようだが、ワクチンと治療薬に極めて多額の資金を充てることだ。いくつかの支援策は発表されているが、ばかげていると言わざるを得ないほど少額だ。
この問題はワクチンや治療薬があれば解決し、なければ解決しない。それにより危機は3ヵ月で終わるかもしれないし、3年続くかもしれない

ー 人類史的に見て新型コロナはどんな意味をもつのでしょう
権力の変容が起こるとみている。歴史上、大きな感染症は権力の変容を生んできた。たとえば15世紀ごろにはペストの発生を機に宗教から治安当局に権力が移った。感染者を隔離するなどの力を持ったからだ。
その後の感染症で、人々は科学が問題を解決すると考えるようになった。治安当局から医学への権力の移転だ。これまで我々はこの段階にいた。新型コロナの対策ではテクノロジーが力を持っている。問題はテクノロジーを全体主義の道具とするか、利他的かつ他者と共感する手段とすべきかだ。私が考える「明日の民主主義は」後者だ。

ー 中国では経済活動が再開しつつあります。危機を乗り越えた勝者となるのでしょうか
そうは思わない。技術を持った国としての存在感は高まるが内政で大きな問題を抱ええる。米国内が分断を続け、欧州が中国によるアフリカなどへのコロナ支援を黙認する。この2つの”失敗”が起こらない限り、中国が世界の中心にのし上がることはない。中国と言う透明性のなさに、世界からはますます不信の目が向けられる。

ー コロナで大衆迎合主義(ポピュリズム)は勢いを増しませんか
当初はドイツ、オランダ、チェコなどで(国境封鎖といった)自国優先の動きがあったが、いまは金融でも産業でも欧州の結束が強まっている。
結束できないと「各国がばらばらに行動した方がうまくいく」と唱える勢力は力を伸ばすが、私は悲観的ではない。

ー 日本は危機から脱するでしょうか
日本は危機的対応に必要な要素、すなわち国の結束、知力、技術力、慎重さをすべて持った国だ。島国で出入国を管理しやすく、対応も他国に比べると容易だ。危機が終わったとき日本は国力を高めているだろう。

最後のくだりはジャック・アタリ氏のリップサービスだろうが、この疫病の世界的危機は間違いなく人類の歴史上の大きな出来事として記憶されるだろう。そんな中に、今生きている自覚を持つことが大事だ。