’20.6.11
日経のコラム「グローバルオピニョン」に投稿した仏経済学者ジャック・アタリ氏の記事のパクリ。コロナ禍後の世界の支配者が気になるところ。支配者はだれか。

新型コロナウィルスのパンデミック(世界的大流行)により、明日の世界の支配者は誰かという議論に関心が集まっている。現時点では、米国に代わって中国が超大国になるという見方が有力だ。
予測には、一定の説得力がある。中国は広域経済圏構想「一帯一路」を掲げる経済大国であり、一層の軍事大国になる。経済力でも世界のリーダー格で、領土内には大量に資源が眠っている。金融面でも、デジタル人民元を発行して世界通貨を作り上げようと画策しているようだ。政府が言うには、新型コロナの感染拡大を収束させ、(相対的に)死者の数も少なかったという。

一方、米国は混乱の中にある。経済危機が起こり、失業率はかつてない水準にも達するだろう。無保険で医療費を賄えない者と、桁外れの報酬を得る者が併存している。人種差別は都市部での暴動を呼び起こす。トランプ大統領は、米国の根深い孤立主義の代弁者でしかない。

実際、中国は今までの米国などのように、世界に君臨できるだろうか。中国は経済から文化の面まで、自国の規範を世界に押し付ける力を持ってない。軍事力や海外の軍事基地の数、核の力ははるかに劣る。食糧自給や社会保障ももろさをはらみ、独裁者が優れた個人主義者の活躍に歯止めをかける。
方や米国は世界一の金融大国の座を維持するだろう。米国の人々の暮らしぶりやハリウッド映画などのソフトは現時点で、中国でも人気の的だ。米国は、宇宙関連でも秀でていることを証明している。大統領が職務放棄したとしても、政界には、民主的な政治を実践できる人材が豊富に存在する。

米中は、21世紀の巨大勢力ではあるが、それぞれ世界の支配者にまではならないだろう。中国は2つのきわめて危ない選択肢を持つことになる。
一つ目は、独裁的な指導者を温存させる選択だろう。温存させる場合、優れた企業家や独創的な人材が、締め出される恐れがある。あるいは、思い切って民主化の選択だが、旧ソ連と同じような運命をたどるかもしれない。
米国も国内の問題で手いっぱいで、世界を持続的に支配するゆとりがない。要するに、両国とも内政に忙殺されているのだ。

欧州はどうだろうか。欧州の生活水準は総じて高く、社会保障も充実している。もちろん、欧州の国々には米中並みの力はない。たとえフランスが原子力大国だとしても、欧州の国々が超大国になるまでの道のりは遠い。「欧州連邦」に向けた確実な動きはまだ見られない。

世界に規範を示すのが国家や国家連合でないのなら、役割を担うのは一部の大企業かもしれない。米IT大手「GAFA」は、軍事力や文化などの面で決定的な影響力を持つ。
こうした企業は独自のデジタル通貨を準備し、自分たちの利益のために人々の行動を監視しようともしている。君臨するのは常に監視するものなのだ。従来は、政府との関係で市場が優位に立ったとしても、両社は対話を続けてきた。今後は混沌とした事態も起こりうる。

自然も世界の真の支配者になりうる。今回のパンデミックで、人類の支配は、見せかけに過ぎないことが分かった。気候変動の脅威から生き残りたいなら、人類は人知を超えたルールに従わなければならない。
生き残りを望むなら、利己主義ではなく利他主義が自身の利益になることを認識すべきだろう。現在と未来の人々を含めた、生きとし生ける者への利他主義を実践すれば、人類は感動に満ちた冒険を堪能できるはずだ。


この記事を凡人の私が理解すると、人類が結束して利己主義ではなく利他主義で暮らしていくなら、明日の支配者は地球上の人類であろうということか。さもなくば、人間同士が戦って自然に滅ぼされ、人類は地球上から消滅してしまうということだろう。