’20.7.11
人間はどう生きていくのがいいか、簡単に答えの出る話ではない。これも一つの生き方でしかないだろうが、分かりやすい話だったのでパくる。生物学者 池田清彦氏の言葉。

今回の新型コロナウィルスの広がりでよく分かったことは、多様性がない、無駄がない社会システムは弱いということです。多様性がない生物も滅びます。人類もいろいろな人間がいて、多様な仕組みがあった方が変化に強い。
例えば、コピーで増殖するクローンは生殖のリスクとコストを減らした効率の良い仕組みです。ところが多様性がないから環境が変わると一気にクラッシュしてしまいます。

効率を最優先にし無駄を排除するグローバルキャピタリズムも同じです。安定した環境の下ではいいのですが、パンデミックのような大きな変化がくると、海外の人やモノに特化してもうけていたシステムは機能不全になります。無駄に見える少数派を抱えていた方が柔軟性が保てます。
生物学的には同調を好む人の方が生き残る確率は高い。でも、同調圧力に負けない変わり者が文化をつくり、イノベーションを起こしてきました。

ウィルスはもともと動物のゲノム(全遺伝情報)から独立したものだから、人間に感染するのはいわば里帰りみたいなものです。ウィルスは他者でもあり自己の一部でもある。ウィルスは外部と内部、自己同一性という概念の再検討を僕らに突き付けます。
それは、ボーダーレス化する社会システムの変貌のメタファー(比喩)のように思えます。「『絶対的な正義がある」なんて思わない方がいい。「あんたは変だけど、俺に迷惑かけないなら別にいい」。そんな姿勢ていれば、世界はちょっとよくなると思います。

もう16年ぐらい健康診断を受けていません。酒は毎日欠かさずに飲んでいます。健康診断を義務付けている先進国は日本だけです。診断結果を気にするストレスの方が体に良くない。老化に伴う大概の病気は治らないのです。老いたらジタバタせずに運を天に任せる方が格好いい。
今でも高尾山の人が少ない裏の辺りに虫を採りに行くことがあります。もう何を採ってもすでに持っているものですけれどもね、たまに珍しいのが採れることがある。
そんな時はちょっとうれしいですね。人生で一番大事なことは、楽しく生きることですから。

人生の黄昏に生きているものにとっては、心して聞きたい言葉だ。