’21.1.5
2021年、新型コロナ禍で身動きのできなかった一年が明けた。今年はどうなることか。米国では保有現金比率が、コロナ禍前よりも大幅に減った。減った現金は株に投資されていると言う。米国も日本も、株は大幅に上がっている。このコロナ禍で世界経済が落ち込んでいると言うのに。
コロナ禍で経済破たんが起きないよう、政府が大量に金融緩和をしているからだと言う。大量に投下されたお金は消費や投資に回らず、株の購入資金になっている。このあたりのお金のまわり方について、日経の「大機小機」に書いてあるのでパクッた。

コロナ禍で発行の増えた国債を誰が買っているのか。即座に日銀との回答が返ってこよう。ご名答だが、もうひとり銀行というう買い手がいる。
20年は銀行の企業向け貸し出しも28.1兆円増え、15〜19年の年7.5兆円増を大きく上回る。もちろん貸し出しや国債保有の拡大の元手となるおカネは、銀行の金庫で自然発生したわけではない。

家計や企業が流動性選好を強め、銀行預金を増やしたのだ。コロナで経営の先行き不透明な企業は、銀行借り入れを増やすと同時に銀行預金を積み増した。家計も消費を抑え、銀行預金に走った。現預金は「平成に比べ70兆円の過剰保有」と内閣府はいう。

政府はコロナ対策として、企業向けに持続化給付金などを配り、無利子・無担保の融資を整えた。家計には一人当たり10万円の定額給付金を支給した。これらのおカネの多くが銀行預金に回り、その預金を元手に銀行が国債を買い、政府の国債発行を消化した。カネは天下の回りものとなり、政府の借金は綻びを見せずにすんでいる。そうはいうものの、国債の買い本尊はやはり日銀ということになる。

ならば、その日銀はどこからおカネを調達しているのか。銀行が日銀に預けているおカネである。金融の量的緩和の下でこの日地銀預け金は膨らみ、20年11月時点で480兆円に達している。ただし、その日銀預け金も元はといえば、家計や企業が銀行に積み上げている預金なのである。
資金は家計と企業、銀行、日銀と政府の間をぐるぐる回る。それが破綻をせずに済んでいるのは、日本の経常収支が黒字であるからだ。
消費や投資などの前向きの経済活動にお金が回らないと、景気は良くならない。それでも経常黒字が続き国内で資金が賄えるうちは、蛇が尻尾をもみ込むようなおカネの流れが続くだろう。

このような解説だが、コロナ禍で景気が悪い中株価ばかりが上がるのに違和感とい心地の悪さを感じるのは私ばかりではないだろう。この手の記事の後には必ず不安をあおるような言葉が続く。
「財政や金融政策に支えられた現在の株高を揺るがす波乱の火種は、年後半にくすぶる」と解説が続く。