’21.3.1
偶発的な武器使用で、国同士の戦争が勃発したら国民はたまったものではない。一般に言われている陸軍の暴走で日本が太平洋戦争を引き起こしたとすれば、その後の日本の悲惨さを見れば何と愚かなことかと思う。
国同士が戦争にならないための知恵、それがレッドラインと言われるものとすれば、このレッドラインとはいかなるものか。自分の勉強のため、日経コラム「風見鶏」のパクリだ。

大国同士が覇権を争う際、安全保障上のレッドライン(超えてはならない一線)を引く場合がある。譲れない領域への挑戦を阻止し、全面的な衝突を避けるためだ。米国でも中国にレッドラインを明示すべきだとの主張が出てきた。
バイデン米大統領は中国習近平国家主席と初の電話協議に臨んだ。香港での統制強化や台湾への威圧的な行動に「根本的な懸念」を伝えると、習近平氏は「中国の核心的利益を尊重すべきだ」と反撃した。
革新的利益は中国が2010年前後から頻繁に使い始めた言葉で、手を出せば反撃も辞さないレッドラインと受け止められている。例として台湾や新疆ウィグル自治区などを挙げる。
米国はこれまで明確なレッドラインを引こうとしてこなかった。台湾問題で軍事介入にあいまいな態度をとることで台湾の独立派と中国の強硬派の両方を封じ、東アジアの現状維持を狙ったからだ。この基本戦略に転換を求める動きが相次ぐ。

米シンクタンク大西洋法議会は1月に発表した論文でレットラインの設定を米政府に促した。中国が「台湾への軍事攻撃」や「沖縄県尖閣諸島を守る自衛隊への攻撃」をした場合は直接介入すべきだと訴えた。さもなければ中国を抑えられないという危機感を示した。
レッドラインの設定が奏功したj例がある。中国がフィリピンに近い南シナ海の要衝、スカボロー礁で埋め立ての兆候を見せた16年のことだ。中国の高官が出席した国際会議で、カーター米国務長官が軍事施設が立てられれば「米国は行動を取る」と警告した。
中国はその後、現在に至るまでスカボロー礁で埋め立てをしていない。当時、記者が理由を質問した中国関係者は「米国との衝突は避けたい」と答えた。

日本の尖閣諸島で同様の対応は可能だろうか。バイデン氏は日本防衛義務を定めた日米安保保障条約5条が適用されると明言した。ただ、同条約の対象は「日本の施設下にある領域」だ。中国に占拠された場合の対応には不安が残る。
日本政府は尖閣が日本領だと認めるよう米国に働きかけている。領有権に「特定の立場を取らない」と主張してきた米国が方針転換すれば尖閣がより明確なレッドラインとなる。

レッドラインは設定後の対応も重要になる。オバマ米政権はシリアに化学兵器使用はレッドラインだと通告しながら、一線を越えられても軍事行動に出ず足元を見られた。小谷哲男明海大教授は「ラインを超えられたら必ず行動する覚悟と準備をしなければならない」と指摘する。
日本は台湾や尖閣をめぐりどのようなレッドラインが適切なのか米国と擦り合わせをしておくべきだ。民主主義など共通の価値観を持つ欧州諸国も巻き込めばなおよい。レッドラインの抑止力が増すからである。

このコラムでも感じるのだが、日本の主体はなく米国だよりだ。戦争のための武器を持たない日本とすれば、自らレッドラインを張れないということなのだろう。軍備をすべきか、戦争の種の準備をすべきか、我が国はどうすべきなのか、国民に理解できる議論を国会には願いたいものだ。