’21.4.9
私が小さい頃(1960年頃)の日本は、世界でも3流国でもっと働いて国力を高めなければと言われていた。それがいつの間にか先進国入りして、日本人はもっと自信を持つべきだと新聞が書き立てたのを思い出す。
最近の日本を見ると、いたる分野で先進国と言われる国々に後れを取っているように思う。そんな思いを日経のコラム「大機小機」が書いてくれている。そのパクリだ。

コロナ禍で思うのは、いつの間に日本は「後進国」に転落したのかという点である。肝心のワクチンは米独英や中ロのような開発国になれず、インドのような生産拠点でもない。ワクチン接種率は世界で100番目だ。
「ワクチン後進国」に甘んじるのは、企業も政府も目先の利益を追う安易なイノベーションに傾斜し、人間の尊厳を守る本源的なイノベーションをおろそかにしたからではないか。
「デジタル後進国」も鮮明である。接触確認アプリの機能不全を見逃すなど行政のデジタル化はお粗末だ。中国先行の高速通信規格「5G]では競争に参加できず、得意だった半導体も米国、韓国、台湾の後塵を拝する。
福島原発事故を経験しながら「環境後進国」に陥ったのは、変われない日本を象徴している。再生可能エネルギー開発は欧州や中国に大差をつけられ、電気自動車も大きく出遅れた。脱炭素の目標設定は大幅に遅れで、構造転換の覚悟にも欠ける。

世界120位の「ジェンダー後進国」は目に余る。コロナ禍で指導力を見せたのは、メルケル独首相やアーダーン・ニュージーランド首相らだが、日本に女性政治家は少なすぎる。20人にもなる日本経団連の副会長にやっと女性経営者が一人選ばれてニュースになるのは寂しい。
「人権後進国」は日本外交の弱点になる。バイデン米政権の登場で人権重視が世界の潮流になった。新疆ウィグル自治区や香港の人権問題で米欧と連携して中国に厳しく対応しないと世界の信認を失う。ミャンマー軍の弾圧を止めるため先頭に立つべきは軍とパイプのある日本だ。援助停止などの手段はある。
そして「財政後進国」である。コロナ禍で財政出動は避けられないが、日本の公的債務残高の国内総生産比は2.7倍に膨らんだ。日銀が大量の国債購入で財政ファイナンスに当たるから規律は緩む。財政危機の重いツケは将来世代に回る。
日本が「後進国」に転落した背景には、政治・行政の劣化がある。責任も取らず構想力も欠く。問われるのは、日本のガバナンス(統治)である。コロナ危機下で科学的精神と人道主義に基づいて民主主義を立て直し、資本主義を鍛え直さな限り、先進国にはもどれない。

とまあ、こんなコラムだがこの頃思っていることを書いてくれているので、私のつたない文章に変えてパクった次第だ。この中で出てきた後進国の項目は
「ワクチン後進国」、「デジタル後進国」、「環境後進国」、「ジェンダー後進国」、「人権後進国」、「財政後進国」だが、これ以上に後進国の分野が増えないことを祈るばかりだ。