’21.4.10
我が家の階段の手すりの話だ。手すりは写真のように、壁の左右に取り付けてある。
我が家は家内の右半身が不自由だったので、設計段階からバリアフリーの家の設計をお願いした。特に家内の要望で、階段は左右に手すりをつけることにした。



家の引き渡しを前日にして、現場責任者から階段の手すりを片方しか付けてないことの報告があった。手すりをつけるには、石膏ボードの奥にビス止めの板を壁に取り付けておく必要がある。
そのためには取り付け忘れた壁の壁紙を剥がし、石膏ボードを外して板を取り付ける大掛かりな改修が必要になる。何となく雰囲気としては、手すりは片方だけで勘弁してくれないかと言う感じだ。確かに階段の手すりは片方だけと言う例が多い。
私もせっかく出来上がった壁紙を剥がして改修すると、その後が気になるのではと思ったが、家内は絶対改修してもらいたいと言う。これは本人のために設計したもので、当然の要求だ。
まあ無事改修をして、手すりは左右に取り付けてもらい、改修跡も気になる点はなかった。そんないわれのある手すりだ。

バリアフリーの設計は細かく指示をしたわけではなく、しいて言えばこの手すり位なものだ。設計段階の打ち合わせて家内の体の状態も分かっているので、後は常識的なバリアフリーで施工されると思っていた。
ところが引き渡しを受けて暮らしてみると、玄関の鴨井が低くて立ち上がれなかったり、トイレに行く導線に手すりがなかったり、風呂場の中に手すりがなかったり、ベランダに出るときにつかまる取っ手がなかったりで、これらは仕方なく後でDIYで対策をすることになった。新築の家に素人が手を加えるのは勇気のいることだ。

階段の両側に着けた手すりだが、家内が逝って私一人になり、年を取って足元不如意になると、この両側の手すりがあって大いに助かっている。階段は登るときはさほど気にならないが、降りるときは危なくて仕方ない。階段を踏み外して怪我をしたり骨を折ったりする話をよく聞く。
降りるときに両手で手すりにつかまって降りると、全く不安を感じない。ひょっとして片方だけの手すりになっていたかもしれないこの階段、降りるときに手すりにつかまり、そんな建てた時のいきさつを思い出す。ありがたい、ありがたいことだ。