’21.8.7
ニクソン・ショックから50年、最近の新聞にニクソン・ショックの言葉が目に付く。月給の少なさに嘆いていた当時の私は、ショックを受けた実感はないが何か大変なことが起きたことは記憶にある。
その影響が今どんなことになっているか、ざっとしたことが日経の「大機小機」のコラムに載っていたのでパクった。

2つのニクソン・ショックから50年がたち、世界は一変した。ニクソン大統領の声明で金ドル本位制が終わり、訪中で中国は世界の表舞台に登場した。その中国は今通貨でも軍事でも米国の覇権に挑戦する。
米ソ冷戦より深刻な米中新冷戦である。

プレトンウッズ体制(アメリカで作られた為替相場体制)の崩壊で、ドル覇権は試練に立たされてきた。
第一の挑戦者、ユーロは域内の危機で再建を迫られた。第2の挑戦者、中国は一帯一路に連動したデジタル人民元戦略を展開する。「ドル・ユーロ・人民元」体制を目指す。
しかし人民元戦略には欠陥がある。海洋進出に加え、新疆ウイグル自治区や香港の人権問題で信認は失墜した。国際通貨の条件は経済力や軍事力を超えた国の信認だ。国際通貨への道は遠い。

一方でニクソン訪中には歴史の重みがある。世界各国は台湾と断交し中国との国交を回復した。しかし、いま習近平政権の強硬な覇権戦略もあり、半導体産業の拠点として台湾を重視する風潮が生まれている。
問題なのは、台湾問題に最も敏感だったはずの日本で台湾を「国」という指導者が出てきたことだ。コロナ対策に関して野党党首や経済官僚OBが、また台湾情勢をめぐり元防衛相の自民党議員が「国」と述べた。日中国交回復に尽力した岡崎嘉平太氏ら先人を嘆かせたに違いない。
これに対し、キャンベル米国家安全保障会議インド太平洋調整官は「台湾の独立は支持しない」とし、「一つの中国」政策を踏襲した。中国と競争しながらも台湾有事を防ぐバイデン政権の絶妙のバランス感覚である。
忍者外交でニクソン訪中を演出したキッシンジャー元国務長官は「米中のいかなる衝突も世界を分裂させる」と警告をしている。

2つのニクソン・ショックにもっとも慌てたのは日本だった。円安の固定相場に安住してきた日本は円高恐怖症が抜けず、プラザ合意後のバブル崩壊で経済敗戦を喫する。一方、「頭越し」のニクソン訪中は受け身の外交に活路のないことを示した。
いま日本は最大の同盟国・米国と最大の貿易相手国・中国のはざまで、米中新冷戦にただ身構えるしかすべがない。対話を通じて新冷戦防止をめざすことこそ日本の役割だ。ニクソン・ショック50年の教訓である。

こんなコラムだが、この手の記事を読んで感じることは、日本のリーダに長期戦略も指導力も、確固たる戦略もないことだ。政治家をいさめる企業人もいないし、まして日本を引っ張っていく政治家もいない。野党の小物は、ちょろちょろと上げ足ばかりを取っているありさまだ。
オリンピックも何とか終わりそうだ。これからは政治の季節、しっかり日本を舵とっていく政治家を見出していく戦いをしてほしい。