’21.10.17
コロナ禍であぶり出されたのが、有事、準有事の日本の無策さだと言われる。今の憲法では金縛り状態で、有事の際の行動が極めて限定されているということらしい。
台湾有事とは、中国が台湾を中国の一部として中国本体に併合るすることだ。平和的に併合できればいいが、今の状態では中国が武力でもって台湾を中国の領土にすることが懸念されている。中国と台湾が戦争になれば、米国がほっておくわけにはいかない。

常々不思議に思っていることは、米国から遠く離れたアジアや具体的には台湾の有事を、米国がそんなにまでも心配する理由は何かだ。米国と中国が対峙するのは理解するとしても、直接関係がなさそうな中国が台湾を併合する動きになぜ米国が大騒ぎするかだ。
同盟国関係を尊重する動きにせよ、アフガニスタンのように自国で守ろうとする意志のない国は見捨てるのではないのか。極端に言えば、アジアは米国から遠い地域だ。米国本土をあまり心配する必要もないと米国は考えてはいないか。そのあたりが良く理解できないのだ。

台湾有事はもろに日本の脅威だといわれる。脅威の対象に対しては抑止力の向上が必須だともいう。その気配としては、台湾防空圏に一日最大の56機の中国軍機が侵入したというし、尖閣諸島水域に最近は3年前の3倍の中国海警局船が進入したという。
中国の習近平国家主席は台湾統一を「歴史的責務」と位置付ける。また、台湾と尖閣諸島の距離は170Kmあるが、中国の最新鋭戦闘機なら5分ほどで到達する近距離だという。
さらに北朝鮮の危険度も上がっている。日本の防衛相は「北朝鮮の軍事動向は重大かつ差し迫った脅威」と表明している。これらの脅威から日本はどうすればいいのか。総選挙を前に与野党はこの現実を直視した論争を戦わすべきだと、以下のような新聞記事が出ていた。

検討すべき課題は何か。まずは中国、北朝鮮の攻撃能力への抑止だ。「攻撃に反撃できる」という構えを示す抑止力の強化が対策にある。
米国は日本周辺に地上配備型のミサイルを持たないため、日本に米国のミサイルを置く案がある。日本が「敵基地攻撃能力」を持つ策も出る。政府は宇宙からミサイルや軍事行動を監視する小型衛星網の整備を検討中だ。いずれも膨大なコストがかかり、世論の理解も欠かせない。
日本は戦後、米国の核の傘で安全を確保して経済成長に集中した。現在は経済と軍事両面で巨大になった中国を前に、米国にその余裕は乏しい。
誰かが安全・安心を与えてくれる時代は過ぎ、日本が主体的に安保環境の構築に乗り出さなければいけない状況になった。周辺国が着実に危機に備える中、与野党を問わず対策を国民に示すべきだ。

こんな記事だが、日本は単独に周辺国の脅威に対して抑止力を備えるしかないのか。米国がクアッド(Quad 日米豪印)やオーカス(AUKUS 米英豪)と言った多国間の枠組みに積極的なのは、単独で中国に対峙するのが困難になったためだ。
米国は日米安保条約で日本の防衛の責務を約束するが、その履行には日本の台湾への姿勢が問われる。今回の選挙で、日本の抑止力の問題が取り上げられている気がしないし、これらの問題に対する無力感だけ感じるのは私一人だけだろうか。