’21.10.24
今回の衆議院選では、構造改革を公約に掲げる党がないという。そもそも構造改革とは何なのか。社会の欠陥を表面的に治すのでなく、その仕組み構造を見直して手直ししていくようなことを言うらしい。
今日の日経の社説に産業構造改革についての記事が出ていた。

少子高齢化と人口減がすすむなか、国民全体の生活水準を底上げするには生産性を上げて成長するしかない。ところが日本の労働生産性は近年、米国の約6割の水準で低迷を続けている。昨年は経済協力開発機構(OECD)加盟37か国中26位だった。
米国やドイツなどの生産性が高い国の特徴は規模が小さい企業が少なく、多くの大企業と中堅企業が付加価値の高い雇用を生んでいることだ。日本は中小企業が全企業の99%超を占め、雇用の7割を担っている。国税庁によると資本金1億円以下の法人の6割が赤字であり、付加価値力が弱い。

この産業構造を変えるには競争力が弱い企業が退出し、有望な分野の事業創出や市場拡大が進む好循環が必要だ。規模が小さい企業には自律成長やM&A(合併・買収)よる規模の拡大を促し、衰退企業から成長力のある事業、事業に雇用を移したい。
現行の中小企業政策は規模が大きくなると優遇対象から外されるため、かえって成長意欲をそいでいる。保護政策から、人材や技術、設備などへの投資を優遇する成長促進策に転換すべきだ。
世界を舞台に大きく成長するスタートアップが増える環境づくりも肝要だ。日本でも評価額が10億ドルを超える「ユニコーン」がようやく増えてきたが、まだ圧倒的に少ない。
時代遅れの法制度を改革し、デジタル時代の起業と企業活動の基盤を整える改革をどう進めるのか各党の具体論が見えない。

こんな記事の社説だったが、読んでいて何となく違和感を感じた。日本の中小企業は素晴らしいと言われてきたし、私がそう思っているからだろう。社説と言えども社の論説委員の記事だろうからいろいろな考え方があってもいいが、日経の社説となると日経という会社の意見だ。そう考えると、ほんとに日本の産業構造を社説のように変えた方がいいと言うのだろうか。
日本の大企業と言われる会社は、中小企業をたたいて安く物を作らせ、その上に付加価値をつけて利潤を上げる。テレビなんかでよくやっているのは、こんな製品がなければこの商品はできない。その製品を作っているのが中小企業だ。そんな構造を簡単に変えられるとも思えない。

成長を促して分配を増やす好循環を作り出すというのが、今回の各党の公約だ。どうすれば企業は成長するのか。そのためには産業以外の構造改革が必要になる。金融しかり、流通しかり、エネルギーしかり、それぞれの分野で構造改革が必要なのだろう。しかもある分野の構造改革が進めば、他の構造改革が必要とされていた分野が成長するということもある。

構造改革を含め各党の公約で上げていることを与野党が国会で真剣に議論すれば、日本も何らかの希望が見えてくるのだが。選挙が終われば、相変わらず野党は与党の足の引っ張り合いでは、この国の将来ははどうなるのか。