’21.12.14
ボランティアの研修も、「地域活動プラン」の作成という課題に取り組むことになった。地域活動も私にとっては年齢と体力の限界に近い。
朝刊を読んでいたら、自己責任論、利他論なんという言葉が出ていたので気になった。政治学者の思想書の紹介なので内容としては私の理解を超えているが、ボランティアについて考える材料でもあるとパクってみる。本の中身を解説したコラムだ。

書籍の題名は「思いがけず利他」という。「21世紀以降の日本では、新自由主義の下で自己責任論が横行してきた。コロナ禍でも公助より自助が求められるなど、社会全体で個人を支える仕組みが失われている」。こういう危機意識に基づき課題を見つめる政治学者の本だ。
その趣旨は「自己責任論を乗り越えるには、利他で循環する社会が必要だ」と訴える。

利他論とは自分の富を分け与えることで、社会格差の是正を目指す、20世紀以降の欧米で唱えられた思想だ。
とはいえ「誰かのための行為には『褒められたい』など利己的な動機が隠れていることや、実際には相手の邪魔になることも多い。本当に自分の意思で利他を実践できるのか」。そんな疑問が思索の契機になっている。

「誰かの言葉や行為の貴重さを、後になって思いもしない瞬間に感じることがある。利他とは不確実の結果や未来に向けた行為で、相手に受け止められて初めて成立するものでは」と説いている。
コロナ禍で正義を振りかざす自警警察を批判する。「正義は誰も所有できない。良かれと思った行動も他者によって受け取られなければ暴力になる可能性がある、と想像することが大切」

今回示した受け手によって規定される利他論こそが、著者が長年求めてやまぬリベラルな政治に必要だとも説く。
「リベラルとは異なる価値に寛容な立場を指すが、昨今は国民や野党との合意形成がない『上からの政治』が目立つ。本来の政治がネグレクトされた状況を打開するには、自身の間違いや限界を自覚した上で他者を受け入れる姿勢が必要だ」と力をこめる。

本の解説記事ですら難しいので、そのものを読んでも私の頭には入らないが思想書だからしょうがない。しかし、利他とは相手に受け入れられて初めて利他となることは理解できる。ボランティアの本質もそこにあるのだろう。