’22.4.9
世界は今や民主主義国家と専制主義国家に分かれ、各国はどのグループに入るかそのことを今のウクライナで起きている戦争が試しているようだ。民主主義国家の超富裕層はどちらの世界にも飽き飽きし、自分らの居場所を宇宙に求めたり新しい考えの国家をつくろうとする動きさえあると前に書いたことがある。

そんな動きはお話として、現実に世界は、特に新興国と言われる国はどのグループに加担するか迷っているようだ。新興国といってもインドのような大国は、その動きによって世界の趨勢が大きく変わってくる。
そういえばひところBRICSと言われた国々のうち、RとCははっきりとしているがその他の国の動きがまさに気になるところだ。
歴史的に欧米支配への反感が根強いインド知識人の間で、ウクライナをめぐり「国際社会がロシア糾弾で団結した」とする見方が欧米人の希望的勘違いだとする論が強い。今日の日経の朝刊にそんな論調の記事が載っていた。

異例のすれ違いが生じている。米国とNATOの同盟国がロシアによるウクライナ侵攻を阻止するために団結する一方、大半の新興国は見て見ぬふりをしている。
世界でもっとも人口の多い中国、インド、南アフリカやブラジルはウクライナ戦争で一方の側につかないことを選んだ。パキスタンのカーン首相は戦争をめぐるインドの中立的な立場を称賛している。パキスタンの首相がインドを称賛するなどめったにないことだ。

インドは米ドルでなくルピーとルーブル建てにより、大幅な割引価格で原油を輸入する交渉をロシアとしている。通常の原油取引はドル建てなので、旧ソ連中心の貿易圏であるコメコン(経済相互援助機構会議)の時代に逆戻りしたかのようだ。当時、貿易の大半は2国間の通貨建てだった。
米国と同盟国は経済制裁により貿易と金融を兵器として用いた。これを受けインドとロシアが冷戦時代の貿易メカニズムの復活を検討しているのは驚くべきことだ。ロシアのインド大使は両国間に「西側から独立した協力と取引」のメカニズムがあると述べた。インドの輸出組織連盟のサクティベル会長は英フィナンシャルタイムズに、「他国がロシアへの輸出を禁止しているので、インド企業がロシア市場に参入する良い機会だ」と語った。

ワシントンはこうした動きを苦々しく見ている。バイデン米大統領は3月、日米豪印4か国の枠組みである「Quad」のうち、ロシアへの制裁で「ややぐらついている」のはインドだけだと発言した。
しかしインドのモディ首相は、ロシアやイランからインドを遠ざけようとする米国の圧力に対して常にあいまいな姿勢を取ってきた。インドはイランから現地通貨建てで石油を購入する検討もしており、これも米国にとっては好ましくない。

混乱を極める世界の中で、各国の指導者は新しい国際秩序について相次ぎ語っている。バイデン氏は3月の米経済者団体の会合に先立ち、「新しい国際秩序が生まれ、我々がそれを率いていかなければならない」と語った。
一方モディ氏も最近、「新しい国際秩序の中でインドは開発スペースを加速させる必要がある」と述べた。バイデン氏とモディ氏が思い描く国際秩序が根本的に異なることは間違いない。バイデン氏は、米国をはじめ西側の自由民主主義国家が主導する自由主義的な秩序の構築を望んでいる。
一方、中国やインドなど多くの新興国はこうした秩序を第2次世界大戦とその余波が生んだ異物とみなしている。
ウクライナ戦争への対応が分かれていることが示すように、新興国の大半はバイデン氏が蘇生を試みる古い秩序を望んでいない。むしろ各地域の覇権国が実権を握る世界経済の中で、自らの道を切り開きたいと考えている。これら覇権国は冷戦時代の東西二分法の枠にはめられることを望まない。
バイデン氏は新しい国際秩序を手に入れるかもしれないが、望みとは異なるものになるだろう。

こんな記事だ。これを読んでわが日本はどうかと考えた。当然西側陣営に属し、欧米諸国の後ろで周りを見ながら遅れないように後ろをついて走っている姿だろう。米国の傘の中で身を守り、相手を刺激させないよ小銭をばらまきながらご機嫌を伺っているといったイメージだ。
ひところは経済大国だと大盤振る舞いをしたが、今は政治も経済も、技術さえも自信を無くしている姿しか見えない。どうか実態の伴わないから元気だけは辞めて欲しいと願うようになった。悲しい。