’22.4.26
ロシアに侵攻されたウクライナの抵抗、圧倒的に強い軍事力を持つロシアが2か月経ってもウクライナを陥落できないでいるのはなぜか。
平和ボケと言われる日本、元外交官だった故岡本氏の自伝「危機の外交」でこう書いてあるそうだ。日本は外国の軍隊に守ってもらいながら、外国人が攻撃されても助けない。防衛費を最低限に抑え、もっぱら自国の繁栄と福祉におカネを使ってきた。こうした「ジャパン・ファースト主義」はいつまでも続けられないと。
ウクライナの戦いは、次の3つの教訓をおしえちると日経コメンテーター秋田浩之氏は書いている。

第1は、いくら多くの友好国に囲まれていても、有事に本当に頼りになるのは同盟国であるという厳然たる事実だ。米欧はウクライナに武器を渡しても、一緒には戦わない。軍事同盟であるNATOの加盟国ではないからだ。
日本はオーストラリアやインド、英国、フランスと安全保障協力を深めてきた。日米豪印による4か国「Quad」]の枠組みも強めている。これらも大事な協力だが、日本に防衛義務を負う米国との同盟にとって代わることはできない。日米同盟をさらに強めることが先決だ。

第2の教訓は、成句にたとえるなら「天は自ら助くるものを助く」である。ウクライナを各国が支援するのは、国民が決してあきらめず、戦っているからだ。
ウクライナ軍がロシアへの抵抗をあきらめ、あっという間に崩れてしまったら、外国は助けようがない。この事実は、自力で防衛する体制を整えることがどれほど大切か、日本に教えている。日本に自衛の意志と能力が乏しかったら、米国は大きな危険を冒してまで守ろうとしないだろう。

第3に、軍事力だけでなく、政治リーダーの統率力が戦争の行方を大きく左右する。ウクライナのゼレンスキー大統領は首都キーウにとどまり、国民と軍に直接、結束を呼びかけ続けている。
戦闘に前のめりになるだけでなく、停戦交渉も走らせ、戦争の出口も探る。世界への情報発信力も圧巻だ。逆に、ロシアのプーチン大統領は苦言を呈する部下を疎んじ、反戦デモを抑えつけながら、誤算を重ねている。

そして今後、課題になるのが、核抑止力のあり方だ。ロシアの核戦力は米国を威嚇し、ウクライナへの直接介入を阻んでいる。だが、米国の核はロシアを止められず、進行を妨げなかった。
同じ構図を、台湾海峡にあてはめたらどうなるだろう。米国は中国との核戦争を恐れて介入できない一方で、中国は米国の核に抑止されず、台湾に侵攻する・・・。こんな事態も絵空事ではない。
オーストラリアの豪戦略研究所の部長もこう語る。「ロシアの核抑止力は米国に効いているのに、NATOの核はプーチン氏のおぞましい侵略を止める抑止力を発揮していない。同じことが中国との関係で起きないよう、豪州や日本は米側と核抑止力の信頼性の強化策を考えるべきだ」
ウクライナを全力で支援するとともに、この戦争が問う教訓を冷静に読み取り、次に生かすことが何よりも大切だ。

ロシアの侵攻で戦争が絵空事でなくなっている今、日本は憲法第九条があるから戦争はないという妄想は捨て、有事の議論をする必要があると思う。国民の関心を巻き込んでの、安全保障に関する国会での議論こそあって欲しい。
議論すらしないという野党の平和ボケ、先進国に全てに後れを取っているかの日本、今の日本を背負って立つ人たちが将来の日本のために何をしなければならないか、一階に住む国民を2階を見るような国会議論をしてもらいたい。