’22.5.13
2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻は、5月9日の対ドイツ戦勝記念日を過ぎても続いている。この日のプーチン大統領の演説の中身は、侵攻の時と何ら変わってない。プーチン大統領にこの侵攻にどんな戦略があるのか、戦略を持てという方が無理だととも言われる。

工作員(スパイ)は諜報(インテリジェンス)はできるものの、戦略(ストラテジー)を描けない。旧ソ連の国家保安委員会(KGB)出身でスパイ活動が染みついているロシアのプーチン大統領に戦略をもてというのは無理な話だという。ウクライナ侵攻の長期化は「工作員」プーチン氏の限界と迷走をもたらした帰結といえる。
以上のような記事が日経に載っていた。ではこのロシアの侵攻の果てはどうなるのか。フィナンシャルタイムズのコメンテーター ギデオン・ラックマン氏のコラムから。

アルマゲドン(世界最終戦争)
ロシアとウクライナおよびそれを支援する双方が、自分たちはナチスと戦っていると思い込むことには大きな危険がある。妥協や和平合意を進めるのが極めて難しくなるからだ。ヒトラーには休戦する機会は与えられなかった。
そのため第2次大戦は、最終的にソ連軍がベルリンを陥落させ、ヒトラーが総帥地下壕で自殺を遂げて終結した。ナチスドイツには核兵器はなかった。しかし、核兵器を保有する国が存在する時代の戦争を終わらせるのは極めて難しい。その「終わる」とはアルマゲドンしかない。

ウクライナの中立国化
プーチン氏は、ウクライナを「非ナチ化する」という言葉上の確約と、同国の中立を維持するという保証を得ることで、この戦争を終わらせる決断を最終的には下すかもしれない。
ゼレンスキー大統領も既に西側が何らかの安全保障の枠組みを確保してくれるのであれば、自国の中立化を受け入れると示唆している。


ウクライナの領土割
米政府高官らは、今やロシアの関心はウクライナの中立確保より領土拡大にあるとみている。既に数千人ものロシア兵士が死傷しているだけに、プーチン氏は何の見返りもない和平合意を受け入れるわけにはいかない。
ゼレンスキー氏も2014年のクリミアに加え、さらなるロシアへの領土割譲を含む和平協定は受け入れられない。

ロシアの抹殺
米政府のある高官によれば、米英やポーランドなどでは「ロシアを世界の舞台から追い出す」好機と見る有力者らの声も浮上しているという。ロシアを永遠に弱体化できれば、それは西側にとって地政学上の大勝利だ。欧州への安全保障上の脅威を減らせるし、中国の最も重要な同盟国の力を弱体化することにもなり、バイデン氏の「米国は世界の表舞台に戻ってきた」という主張の信ぴょう性を高めることにもなる。
だが、「ロシアの弱体化を狙う」という政策を公然と掲げるのは大きなリスクを伴う。まず核兵器使用という事態の悪化を含め、様々な危険性を高める。
また、ロシアが一方的にウクライナを侵略したにもかかわらず、今回の戦争の原因はロシアを敵視するNATOにあるとするロシア政府の主張に正当性を与えかねない。そのことはロシアの孤立を図ろうとする米国の姿勢に対する国際的な支持をうしなうことにもなりかねない。

戦争は終わらない
「ナチスとの戦いだ」とか武器貸与法と言った言葉が目立つが、この戦争は第2次世界大戦よりも、侵攻・占領を続けるソ連軍と戦うアフガニスタンを米国とその同盟諸国が10年近く支援し続けたアフガン戦争に近い。
西側の高官には、塹壕を互いに堀り、広範囲に及ぶ戦線で両陣営が何年も消耗戦を繰り広げた1914年〜18年の第1次世界大戦にむしろ近いとさえ見る人もいる。
つまり、結論としては非常に暗いと言わざるを得ないが、この戦争は容易には終わらないということだ。

コラムの内容はざっとこんなものだ。新聞を読む限りは、この戦争で日本の取るべき道は防衛費の増額だと書いてある。自国を守るだけの防衛費を積み上げねばならないと。今日の新聞では、日本は防衛費(defense)というが欧米は国防費(national defense)というように、日本も防衛庁だけの予算でなく各省庁が国防予算を組み入れるべきだという。
日本共産党は、防衛費を積み上げるのではなく外交、特に国連を活用すべきだという。国連がまともに機能するのであればそれが一番いいと思うが、今や機能不全に陥って何も実効的な手が打てないでいる。
日本も経済制裁という事で、この戦争に欧米と一緒に加担しているがその認識は国民にはいまいち薄い。2階の住民が騒いでいるが、1階の住民も安閑とはしておれない気分だ。