’22.5.15
見出しのタイトルは今朝の新聞に出ていたキャッチコピーだ。「すべての科学者に告ぐ。」広告主は千葉工業大学  (本日、創立80周年を迎えました)

「世界は急速に、良くない方向へ進んでいる。その真ん中に科学技術が存在していることは否定できない事実である。最先端の技術が、他国の軍事力を凌駕するために利用される。命を救うための研究が兵器に応用され、いとも簡単に人命を奪う。戦争によって、技術革新は進んでゆく。その葛藤に我々は苦しみ続けてきた。しかし、科学者たちよ。今こそ声を上げるべきだ。すべての技術は人間を幸福にするため生まれ、世界に平和をもたらすためにのみ活かされるべきだと。」


そして、同じ新聞に「科学の絶景」という連載コラムが載っていた。自然の絶景は美しく、近寄りがたい。科学技術の進歩も同じだ。胸が踊るばかりでなく、胸騒ぎも覚える「科学の絶景」を追う。と連載の趣旨が書かれている。その最初のコラムは同紙のサイエンスエディターが書いた以下の内容だ。

実物を見たわけではないが、考えるだけで恐ろしい。専門家たちはそう語った。その脅威とは半導体回路の改ざん。悪意のある人物が細工した半導体チップが、世界中の電子機器に出回る危険があるという。たくらみが成功すれば、デジタル技術で成り立つ現代社会は大混乱に陥る。科学技術の最先端にいる研究者が感じ取る危険の真相に迫った。

或る悪夢がささやかれている。突如、スマートフォンや家電が盗聴をはじめ、車や工場は急停止して大騒ぎになる。様々な機器で半導体チップに潜んだ回路が動き出し、正しい制御ができなくなる光景だ。
東北大の本間教授は「半信半疑に思えるかもしれないが、今の半導体チップは『絶対に安全』とは言い切れない。安全を保障する技術が必要だ」。正規のチップに、不審な回路が組み込まれる脅威が高まっていると明かす。
専門家ですら実物を目にしてないと話す不審な回路の存在だが、事実だとしたら影響は計り知れない。対策は難しいと感じる。悪意は宿るがチップ自体が正規品であるがゆえ、精緻な製造工程をたどる半導体回路という「モノ」が「改ざん」される事態が想像しにくいためだ。

「潜在的な脅威に警鐘を鳴らしてきたが、チップメーカーは対策に投資しようとしない。企業は『まだ脅威になってない。悪用もされてない』とし、行動する必要はないと考えている」
さらに英国ケンブリッジ大学のゼルゲイ博士は続ける。「しかし今後、大きな問題が起きる」
一方で 「簡単にできるはずがない。杞憂だ」という博士もいる。

そして私は「すべての科学者に告ぐ」、人間を幸せにする機械を開発してくれと。つくづく思う、今地球上で生きている生物の中で、人間が一番下等生物ではないかと。