’22.5.31
歳出費目に国債費なるものがある。その話。
誠に恥ずかしい話ではあるが、どうしてもわからないことがある。収入より支出の多い家庭は、不足分を預貯金を取り崩して賄う。その預貯金も使い果たしてしまうと、その家庭は借金もできず破産して食べることもできなくなってしまう。当たり前のことだが。
国でも自治体でも、収入より支出が多く借金をしても返す当てがなくなると破綻してしまうだろう。そんな心配があるのに、国も自治体も心配しないのはなぜだろうという極めて幼稚な疑問だ。

国の歳入予算は、歳出に見合う税収やそれ以外の収入で賄えないときは、国債という借金を計上して歳出とつじつまを合わせる。
一方歳出予算には、この国債の償還や利子の返済に充てる国債費なるものを計上する。2022年度の国の一般会計当初予算107兆6千億円のうち、国債費は24兆3千億円余りになるらしい。これは過去最高の金額で一般会計の22.6%を占める。

さらっと書いたが、国債費は償還期限を迎えた国債の元本を返済するための償還費と、発行した国債の利払い費の2つからなる。22年度当初予算では償還費は16兆1千億円、利払い費は8兆2千億円だ。
赤字国債や建設国債など普通国債の発行残高は増加の一途をたどり、いまや1000兆円に迫っているらしい。当然積みあがった国債の償還費と利払い費は、毎年の予算編成の制約要因となり国民の必要とする予算が減らされることになる。
消費税の増税や企業業績の回復に伴って税収は増加基調にあるというが、いまの日本は社会保障や公共事業、教育、防衛など政策に使う経費は税収だけでは賄えず、毎年新たな借金をしなければならない状況が続く。国債発行を増やしていくことになる。

政府は債務残高を減らすため、毎年の政策経費を税収やそれ以外の収入で賄えているかどうかを示す指標として基礎的財政収支(プライマリーバランス)を25年度に黒字にする目標を掲げていたが、いつの間にかこの目標の文言がなくなった。ほんとにだいじょうぶか。
言ってみれば、国の予算は収入は国債で穴埋めし、支出は国債費を計上するという自転車操業をしてつじつまを合わせているので破綻しない。積みあがった借金はどうするのか。

今日の日経朝刊の1面に「国債利払い費、1割転用」とあった。政府が巨額の借金をまかなうために用意した国債費が「隠し財産」として使われているというのだ。
日銀の金融緩和で金利が下がり、予算計上した国債の利払い費が常に余る状況が生み出され、景気刺激など他の政策に転用されているというのだ。
日銀が他の国と違っていつまでも金融緩和を続けて金利を下げるのは、こんな低金利を利用したからくりを政府から維持しろという圧力を受けているからではないかと勘繰られても仕方ない。

さらにさらに、日本の財政が破綻しないのは、日本を運営する与野党政治家が自転車操業的見せかけ予算を成立させ実行する慣れ合いの政治だからだとしたら、もう日本は終わりだ。

そう悲観する必要はないよ、日銀は政府の子会社で政府がいくら借金をしても日銀が借金を引き受けてくれるから「財政破綻」なんか起きっこないというのが現代の経済学さ、とMMT理論はいう。わけわかんないよ。
「誰かの負債は誰かの資産」という理屈から言うと、破綻は自国通貨で経済を回している限りにおいては起きないという理屈らしい。むしろ政府が借金を増やし、借金した分国民が銀行からお金を借りた方が景気が良くなる理屈だ。
残念ながら今の日本は、国民の貯金ばかりが増えてお金を使わないから景気は良くない。国債を発行しすぎて財政破綻を起こすことは、今の経済理論からはあり得ないという事らしい。