’22.9.16
「先の大戦」という言葉を聞く。8月15日の終戦の日に新聞等で目につく言葉だが、その8月15日に日本国の敗戦で終わった日本の戦争のことを指す。
この戦争のことを浅学非才な私は、第二次世界大戦、大東亜戦争、太平洋戦争なんて言われる戦争のどれなんだろうと思っていた。だいいち日本は、第二次世界大戦に関わっていたかすら明快に答えられないのだから困ったものだ。

先の戦争の始まる前(先の戦争の始まったのがいつだかもはっきりと言えないが、仮に真珠湾攻撃をした日を開戦としよう)の1940年頃、東南アジアへの日本侵略を大東亜共栄圏の建設と言いつくろっていたらしい。この言葉も終戦とともに語られなくなったらしいが。
今日の日経朝刊の社説に「東南アと新たな共存共栄探れ」なる見出しを見て、中国と対峙する今、中国を除く大東亜共栄圏を構築する旗振りを日本がしたらいいという妄想がわいてきた。アジアの一員でありながら米国だけとの同盟でいいのだろうかと思っている。アジアには中国を脅威と思っている国が多い、ならばという話だ。

今から60年近く前の話だが、私が卒業した田舎の国立大学にも同じ学部に二人の留学生がいた。インドネシアからの留学生だが、母国では優秀な学生だったんだろう。その時代から、東南アジアの国から日本へ勉強に来ていたのを思い出す。
その後日本の先行発展に学ぶ「ルックイースト政策」を始めてから今年は40年の節目にあたるらしい。日本の協力を得た人材育成をてこに、マレーシアは直接投資を呼び込み、工業国の仲間入りをした。同じ道程はタイやインドネシアなど東南アジア他国にもあてはまる。
近年、存在感が薄れ気味の日本は、自らの強みを点検し、新たな共存の道をさぐるべきだというのが社説の趣旨だ。

かつてのマレーシアは原油や天然ゴムなどの一次産品の輸出に頼っていた。日本で学んだ人材を基盤に多くの外資企業を誘致し、電機・電子を中心とする工業製品の輸出国へと変貌を遂げた。
そんな日本の優位は変調の兆しがある。日本がシェア8割を握る自動車。日本メーカの支援でマレーシアが83年に創設した国民車メーカのプロトンは今は中国が主導する。インドネシアやタイの電気自動車計画で先行するのは韓国や中国だ。デジタル関係の経済では日本は蚊帳の外だ。
かつて東南アジアが日本に協力を求めた以上に、かなしいかな今後の日本の成長に東南アジアは不可欠だ。昔の「先生と生徒」が入れ替わって、これまでに築いてきた資産と信頼の力を生かし、平和を目的とした経済の大東亜共栄圏を建設しては如何なものか。

これを称してシン・大東亜共栄圏構想という。
旧統一教問題だとか、昔の政治家の五輪汚職だとか、死んだ政治家の国葬問題だとか生産性のない議論に選民は時間を費やすのではなく、もっと日本国の国力を上げる議論に時間を費やしてもらいたいとつくづく思う。