’22.10.7
今の日本に景気のいい話はない。今日の話題も日本の悲観的な話だ。日経のコラム「Angle」からのパクリを交えて書いている。

「日本が本当に悲惨なぐらいに国力が落ちたら、いろんな人に助けてもらうことだってありうる」財務省の神田真人財務官の記者の質問に対する返答だ。9月22日、約24年ぶりとなる円買い・ドル売り介入に踏み切った直後に開いた記者会見でのことだ。
ドル売りの原資となる外貨準備の残高を考えれば、円買いは何時までも続けられない。すぐに限界が来るのではないか。そんな記者の問いかけに、神田氏は外貨準備が尽きたら円の買い支えを「日本ではなく、他の国にやってもらってもいい」と言い切った。

日本の外貨準備は8月末時点で1.29兆ドルある。今のレイトで187兆円だ。財務省は今回(8月30日〜9月28日の間の介入)の為替介入実績が2兆8千億円あまりだと明らかにした。外貨準備の1.5%しか使っておらず、円買い介入の原資はふんだんに残っているようにみえる。しかし財務省によると、外貨準備のうち海外の中央銀行に預けていて、いつでも使える預金は20兆円弱にとどまるという。
日本は150兆円の米国債を持っていると言われるが、その米国債は売らなければ円買い介入には使用できない。日本が米国債の売却に動けば、世界的な金利上昇に拍車をかける恐れがあり、安易に使える手ではない。

そもそも、日本単独の介入では効果が限られ、巨大な為替市場の流れを変えるのは難しい。さらに言えば、いまの日本に円安を食い止めるために米国などが救いの手を差し伸べる理由は見あたらない。
各国が歴史的なインフレを抑え込もうと利上げを急ぐなか、日銀はかたくなに異次元緩和を続ける。黒田総裁は「当面、金利を引き上げるようなことはない」と繰り返し、外から見れば自ら円安を招いているようにしか見えない。

円の価値がこのまま下がり続ければ、日本の国力低下に拍車がかかる。ドル建てでみた22年の国内総生産(GDP)は、30年ぶりに4兆ドルを下回る見通しだ。(21年では米国 22.7兆ドル、中国 16.6、日本 5.4、ドイツ 4.3、・・・韓国 1.8、ロシア 1.7) ドイツに抜かれ、世界4位に沈む未来も現実味を増す。
海外からモノやサービスを買う力が弱まり、賃金は上がらない。この国で働きたいと思う人はどんどん減る。円安が国を貧しくし、それがさらに円安を呼ぶ悪循環の瀬戸際に日本はある。(いまそんな実感を持つ日本国民はどれくらいいるだろう、特に若者は)
「悲惨なくらい」に日本の国力が落ち込めば、どこかの国が助け舟を出してくれるだろうか。そうは思えないと誰しも思うだろう。自らの手で強い経済をつくり、円安を止める努力を尽くさない限り、日本は沈んでいくだけだ。

そんな日本を引っ張っていく政治の世界で、今の日本に危機意識を持っていると思える政治家はがどれくらいいるだろうか。政権政党の自民党議員は多少持っているのではないかと思うのだが、野党の立憲民主党や共産党議員がほんとに危機意識を持っているとは思えない。なぜか。
政府のやることなすこと全てに異をとなえる。政府は日本をよくしようという政策をしていないのか。ならば、こんな政策はどうかと言えないものだろうか。日本を救うには与党も野党もない、残念ながら力を合わせて国を救おうとする姿勢が見えない。日本を救おうとする政策ならば、与党も野党もなく一致団結して立ち向かうべきではないか。そんな政策がないということなのか。残念なことだと思う。
所詮国力は政治と企業と国民とで作っていくもの。自業自得と思えば嘆くこともないのか。国民のひとりひとりが何をすればいいのか、それが分からないだけに悲しい。