’25.4.6
タイトルのような記事が日経の朝刊に載っていた。オープンAIとディープシークに国内最難関とされる東京大学理科3類の入試に合格できる「学力」を身に着けたことが新聞社と民間企業などの共同調査で分かったとある。この記事を読んで、何だか引っかかるものを感じた。
「国内最難関の東大理3類」、大よそ関係ない大学の学部、AIが合格した、だから何だというひがみとやっかみからだろう。

そんな記事の裏面に、こんな記事が載っていた。
政治や経済が情報技術、とりわけ人工知能(AI)、SNSに左右されやすい時代になった。民主主義は持続可能か、自由な経済活動はどう変化するのか。人類10万年をたどった著書で世界的に知られ、来日したイスラエルの歴史学者、ウヴァル・ノア・ハラリ氏にAI時代の課題と行方についてインタビューしたものだ。

AI革命という、宗教改革や産業革命より重大で途方もない課題に直面している時に、もっとも影響力のある国に最も危険な指導者が現れた。政治も経済も人と人との信頼関係で成り立つが、トランプ氏もAI革命もそれを損ない、分断を広げる可能性がある。

人類は岐路に立っている。我々はついに人間でないもの、私たちより言語や数字に秀でたAIという技術を創造し、自分らの世界に取り込もうとしている。
トランプ氏は新しい世界秩序について何ら意味ある指針を示さない。自由貿易や多様性などの普遍的価値、国際法による秩序を攻撃しているだけだ。ウクライナを侵略したロシアに同調し、「弱いものは従え」というニュアンスの発言をしている。他国は国際法や米国にもう頼れず、軍事費を増やして戦争で自国を守るしかないということになる。

インターネットは当初、ワールド・ワイド・ウェブといわれ、世界中を覆う巨大なクモの巣のような存在だった。だが、AIは国と国、個人と個人を繭のような狭い世界に閉じ込める懸念がある。人類はそれそれ異なる現実を見て、意見の一致も見にくくなる。取引も気候変動のような重要な問題の話し合いもできなくなる懸念がある。

AIは人間より多くのことを記憶し、解釈できる可能性がある。それゆえにAIという存在により強く恐れを抱くかもしれない。権威の移行が起きるかもしれない。

インタビューの内容はこんなところだ。端折って取り上げて書いたので分かりにくいところもあるが、予測しがたいトランプ大統領、AIのこれからの人類への浸透に警鐘を鳴らしているように思える。