'99.8.1(創刊日記)

わたしは’96.7中旬の暑い日、ホームストアの動物売り場でご主人に出会いました。わたしが 店に来て二日目のことでした。生後40日足らず、これから母親や兄弟から犬としての教育を受けたり学んだりしようと思っていた矢先の事でした。

そういうことで、母親の愛情を十分受ける間もなく人間社会に飛び込んできました。 幸いご主人の家族は小さい子が居る訳でもなく、十分な愛情を持ってわたしに接してくれました。 しかし、わたしは生きていくための教育は何一つ受けてなく、ただただ本能の赴くままに毎日を過ごすしかありませんでした。

苦労したのは、わたしの唯一の表現方法である噛むことについて私自身、何の教育も受けていませんでした。噛まれた人間も、ただただ痛がって時にはひどいお叱りを受けることがありました。ただ噛んだだけでこんな仕打ちを受けようとは、しかしだんだん噛む事がどんなことなのか分かり始めてのは、歯が大人の歯に変わる頃でした。

次に苦労したのが、人間との上下関係でした。わたしの主人は、言う事を聞かずふざけて逃げて回ると、真剣になって箒をもってわたしのことを追いかけてくるのです。もちろん捕まえてわたしを 箒で叩いて叱るためです。
わたしはまたおっかけっこをして遊んでくれているものと思い、ますます逃げて回りました。捕まったときは、本当に死ぬかと思うぐらい体罰を受けました。そんなこんなで、 ご主人はわたしより力が上だと思うようになりました。

序列を認める方法は、わたしの場合やっぱり肉体的な力関係だったように思います。 この序列を意識するかしないか、人間との関係が難しくなったときこの原点に立って考えると、変に悩まず案外納得できる場合が多いように思うこのごろです。

きょうから「ラムの日記」の始まりです。どうか末永くお付き合い下さい。