’01.7.17

「ラム、元気、お前は賢いんだから」。 玄関のたたきで寝ていたわたしの所へ誰か近づいてきたので何事かと頭をもたげると、お母さんがそばにいて何か言いながらわたしの頭を撫でてくれます。心なしかウルウルした感じです。時間は・・よるの9時近くです。

「ラム、トイレに行くか」 わたしはよる寝る前に必ずトイレをするため庭へ出ます。そして水を飲んでゲージに入って寝るのですが、きょうは水を飲んだ後主人がベンチに座ってわたしに来いというのです。また説教でもと思いましたが、何だか何時もよりやけにやさしいのでわたしも気持ち悪いくらいです。時間は9時を回っていました。
「ラム、今夜たけしのテレビで犬の特番をやっていたんだが、なんとも悲しい気持ちになって、お前は幸せだな」
いきなり幸せだななんて言われても、わたしだって色んなことがあるんですもん。ん〜、さっきのお母さんのウルウルも何か関係ありそうです。主人の話しはこうでした。

アメリカで犬の訓練士をしている女性の話しなんですが、なぜ訓練士をやるようになったかという理由がなんとも心痛んだそうです。
最初に訓練士の紹介がありましたが、帽子をかぶった女性がワンちゃんにアジリティーの訓練をしている所から始まりました。きびきびして歯切れのいい指導振りは、若くして立派だな〜と主人とお母さんは感心して見ていた様です。
「なぜ貴方はワンちゃんの訓練士になったのですか」 訓練士のお母さんが涙して話すには・・・帽子を取ったその女性は・・・訓練士のお母さんでなくって訓練士その人でした。(これは主人の勝手な思い込みで、話しの本題とは関係ありません。ラム)
その話しとは、小さい時に人間にいじめられて育ったワンちゃんは、人間不審になってどうしても直すことが難しい。そんなワンちゃんを引きとって、なんとか矯正しようと努力したが安楽死しかなかった。そのことに悩んだ結果、ワンちゃんを幸せにするにはちゃんとしたしつけ、教育が必要だ。一匹でも多くのワンちゃんを幸せにしてあげたいと、訓練士になったのだというお話でした。

「ラムは幸せだな〜」 この話を聞いて、こんどはほんとに幸せだなと思いながらゲージに入っていったのであります。