’01.8.25

この地区は決まった日に、ごみの収集車が来てごみを集めて行きます。ごみの集積所は、路地を出た表通りにありますが、たまに主人がごみを捨てに行くことがあり、最近そんな時、わたしに付いて来いって言うのです。
「ラム、来い」 見ると主人がごみ袋を持って、庭の扉を開けてわたしを待っています。ヘイヘイ、わたしは主人の横に付くと、主人はすたこら歩き始めました。え〜、ノーリードだ!と思っていたら「つけ」のコマンド、わたしは主人の横について歩いて行きます。集積所の表通りまで約50メートルほどあります。
リードがある時はだいたい体半分ぐらい前を歩くのですが、ノーリードの時は体二つ分位遅れてしまいます。においを嗅ながら歩いていくと、ついつい遅れてしまうのですが、決まって主人の「つけ」が飛んできます。
こうして集積所2、3メータ手前まで来ると「すわれ、まて」のコマンドです。最初の内はなんでこんな所でと思っていましたが、わたしが表通りに飛び出して、万が一事故でもあったらという、主人の深い配慮のあることを知り、いたく感激したのであります。

主人はごみを置いてわたしの所へ来ると、「よし」と言って「まて」のコマンドの解除です。わたしは立ち上がった瞬間、家に向かって一目散に走って帰る衝動にかられました。その時「ついて」、主人のコマンドが飛んで来ました。わたしは主人の左について歩き始めます。
歩きながら、もっと小さい頃、花見川を主人とノーリードで歩いていた時のことを思い出しました。やっとノーリードにしてもらい、主人について歩いていましたが、見なれないものにこれは何かと探索しているうちに、主人に遅れをとってしまいました。すかさず主人は「こい、ついて」とコマンドを発します。わたしははじけたように、脱兎のごとく走り出したのでありす。
主人は真顔になってわたしを追っかけますが、わたしは益々面白くなって走ります。それが短に走るから、逃げるになったのです。リードに繋がれてからのことは、・・・想像におまかせします。

歳月が経って、5才になった今、「こい」と言われると走って逃げたくなることもありますが、体が自然とコマンドに従うようになり、自分でも不思議な気持ちです。
家に帰ると主人が「グー、グー」と言って、頭を撫でてくれました。なんか損をしたような、いや、これでいいんだという複雑な気持で、水を飲んだのでありました。