’8.30

夕食の前の散歩、庭に出るとヒヨドリさんがピーピーと甲高い鳴き声を残して、もちの木から飛び立って行きました。飛び立ったもちの木を見ると、青い実の中に点々と赤く色づいている実が見えます。
春の花の付き具合から、今年は実が沢山付くと思っていましたが、さほどでもありません。日照りが続いたせいでしょうか、それでも色づいた実を目当てに今年ももうヒヨドリさんがやって来たのです。

花見川に通じる田圃には案山子がいくつも立っています。もう稲刈りをしている田圃もあります。食欲の秋がいよいよ到来です。
案山子の立っている田圃には、沢山のスズメが飛びあがったり沈んだりしています。横を通る時、主人がパァン〜と手を叩くと、沈んでいたスズメが一斉に飛び立ちます。主人の意地悪に驚き、その数の多さにまた驚きました。

散歩を終えて夕食をすると、ゲージに入って一休み、本格的に寝るにはまだ間があります。どれぐらい時間が経ったでしようか、ゲージが開く音で目が覚めました。
「ラム、出て来い」。 見ると主人が上がりかまちに座ってニコニコしてます。玄関のたたきに出て、大きな伸びを一つして主人を見ると、膝の間に座れと言います。言われるままに膝の間に座りますが、なにか気味が悪いので少しはすを向いて座ると、真っ直ぐ向いて座れと言います。

実はこんなことは初めての事ではないのです。夕飯が済んでしばらくすると、主人と庭に出ることがあるのですが、やけに機嫌が良くてわたしをかまってくれるのです。ベンチで主人の膝に乗ると、ぷ〜んと匂ってくるものがあります。この匂いのする時は大体ご機嫌のようです。
「今日は、ラムがどんな時にも動じない訓練をしてやろう」 そう言って、主人はわたしの鼻を大きく開けた口に持ってきて、ハー、ハーと息を吹きかけるのです。
「止めなさいよ、ラムだって嫌に決まってますよ」。主人の後ろでお母さんが心配そうに見ています。そういいながら、止めるわけでもなく成り行きを面白そうに見ています。さんまの生臭い匂いに辟易としながら、わたしは神妙な顔をして、生唾をゴクんと飲み込んだのであります。
9月1日は防災の日、こんな訓練が防災の役に立つのかと思いながら、主人の訓練は続きます。