’01.9.11

台風が関東にやって来ると言うのですが、ご主人達は以外とのんびりしています。そうですね、朝起きても生暖かいだけで静かなものです。
先回の台風の時は、家中の雨戸を閉めたり、庭も風対策で片付けをしてましたが、たいしたことはありませんでしたからね。

「や〜、今年も咲いてくれた。彼岸の入りは20日だけど、ちゃんと咲くんだ。台風で倒れなければいいがな」 主人がそう言うのでそばに行くと、北側に面した裏庭に、今年も2本の彼岸花が咲いていました。この彼岸花はわたしにも思い出の花です。
わたしが1才半の暮れ、タオルを食べて、どうしても吐き出すことができずにいた時、主人が裏の原っぱに連れて行って、草を食べさせてくれました。
結局それでも、戻すことができずに開腹手術をしたのですが、枯れかかった雑草の中で、ひときわ青々とした草が生えていました。それが彼岸花の葉っぱでした。
その後主人は彼岸花の球根を持ちかえって、あまり鑑賞する花でもないと言うことで、陽の当たらない裏庭に植えたそうです。
彼岸花は皇居のお堀でも見られるように、本来陽のよく当たる南斜面に群生するもの。日の当たらない裏庭では育つはずもありません。毎年葉っぱだけは出るんですが、花の咲くことはありませんでした。
それが去年、花を持ったというのです。しかも咲いているところを見たのはお母さんだけで、その話しを後から聞いた主人の悔しがること。今年は、早くから注意をして観てたようです。

お昼頃になって、雨風が強くなりました。鎌倉に上陸して、正午頃東京23区を通過して、北東に進んでいるとのこと。わたしの経験したことの無いような雨と風が、玄関のドアの向こうで荒れ狂っています。
少し外が静かになった頃、「や〜、やっぱりやられたか。はかない命だったな」 と主人のすっとんきょうな声。
 「せめて一輪ざしにでも」 とお母さん。
外はまた、吹き返しの雨と風が大騒ぎをしています。家の中も彼岸花で大騒ぎ。静かなのは、ポーズを取るわたしだけ。
さて、台風の過ぎ去った後、主人と家の周りを点検した所、被害は結局この彼岸花が1本、茎の根本から折れたことでございました。はい。