’01.9.29

秋の夜と言うのは、何か不思議な気持にさせてくれる薬でも空気の中に入ってるんでしょうか。何か感傷的な、ちょっぴり自分の生活を考えてみたり、先のことを考えて見たりさせる気分になります。
いつもの通り寝る前に庭へ出してもらい、普通だと用を足して玄関にあるゲージにすぐ入れてもらうのですが、今夜はどういう訳かベンチに一人乗って、ひんやりとした空気を吸って見たい気になりました。
お月さんは、随分と丸みを帯びてきました。目障りな星は、どこかに行っていなくなっています。そうでなくて、お月さんの方が嫌になって目障りな星から逃げ出したようです。
空気の中にかすかな香り、ああ、今年もキンモクセイの咲く時期になったんだ。すこし早いような気もしますが。

こうしてベンチの上で一人いると、色んな思いが通り過ぎて行きます。わたしはどうしてここに居るんだろう。
この庭はそう高くもないフェンスだから簡単に飛び越せそうだけど、なぜ大人しくしてるんだろう。
あの時もっとおやつが欲しいって、なぜもっとわがままを言わなかったんだろう。
散歩の時好きなわんちゃんのところに行くと言って、なぜ引っ張って行かなかったんだろう。・・・。

わたしの持って生まれた気持ちがあって、その上にいろんな欲望の気持ちがあって、そのまた上に後から教えられた欲望を我慢する気持があって、いつもコマンドで我慢する気持が刺激されて、何時の間にか我慢の気持がわたしを支配して、そうは言っても欲望の気持が頭をもたげて、・・・。

わたしは紛れもなくこの家族の一員です。フェンスを飛び越えて行っても、必ず家に帰りたいと思うでしょう。ちょっぴりわがままは言いますが、結局はご主人のご指示に従います。
悲しい時、うれしい時はありますが、ご主人といる時はうれしい表現しかできません。わたしの持って生まれた気持は、単純で純粋な・・・・。

「ラム、来い、いつまで外にいるんだ!」 ああ、わたしの体が反応する。