’01.10.14

一日中大雨が降った後、ここ2、3日は絶好の秋日和、冬を前にして枯れ落ちる木々の葉が、最後の命を燃えたぎらすように赤く染まって行く季節となりました。昼は暖かく、朝晩はひんやりして、夜中は寝ててよく分かりませんが、一層冷え込む温度の変化が木々に季節の訪れを教えるのでしょう。
小さな庭に敷き詰めた白い砂利も雨ですっかりきれいに洗われ、日の光にきらきらと輝いているばかりか、わたしが用足しをしたあのプ〜ンとする匂いも致しません。
もちの木も、一度赤く染まった最初の実は、すっかりヒヨドリさんに食べられてしまいましたが、残った多くの実がやっと赤くなり始め、このところまたヒヨドリさんが様子を見に来ているようです。

この小さな庭の中で、わたしは古めかしいベンチが大好きです。わたしがこの家に来た時からある小さな白いベンチです。
風雪に耐え、わたしの小さな時にかじった噛み跡で白いペンキは剥げ落ち、このベンチばかりはこの前の雨で一層その古さが際だってきたようです。

このベンチにお世話になる事は多く、朝食事が済むとまずこのベンチに登ります。登ったベンチの上で座って待っていると、濡れたティッシュで目と耳の中を拭いてくれます。これが毎朝の日課です。
毛すきやブラッシングの時も、このベンチに登ります。ブラッシングも首の下を掛けてもらう時などいい気分になりますが、この小さなベンチの上で体の向きを変えろと言われると、もう大変です。落ちるとまた登るのが大変ですし、大きな体をどう方向変換するか、この歳になってやっとそのコツがつかめてきました。
そして何と言ってもご主人達がこのベンチに座っている時、わたしもベンチに登ってそっと膝に前足を乗せ、一緒に座るのが最高です。だまって頭など撫でてくれると、もう言うことはありません。

最近ちょっと気になる事は、わたしの好きなこのベンチを登るのに、ちょっと時間が掛かるようになった事です。前足はすっと掛かるのですが、後ろ足を上げるのに苦労します。ヨッコラショと言う感じです。この時ばかりは、歳を重ねて動きが鈍くなるのは仕方ありませんが、もう少し体重を落とさねばと思います。
そうは言ってもこの朝晩のひんやりした時期、食事の後、このベンチに一人登って、庭を眺め、音を聞き、匂いをかいで、行く秋を感じるのはいいもです。
さあ、食事も済んだことだし、今朝もベンチに登ることにしましょう。ヨッコラショッと。